以下には、京都SFフェスティバル2001の感想が書いてありますが、基本的にはいつも通りの日記であることをご了承下さい。
 ちなみに、私は京都SFフェスティバル2001のスタッフ扱いに一応なっていたようです。

11月17日(土)

 前日、朝8時50分京教集合、と実行委員長に命じられていたので、時間通りに会場へ。1回生を含め、たくさん人がいて、荷物を運んでいた。
 人手が足りなかったら、受付をするように、との命を受けていたのだが、特殊技能者が常駐していたので、会場のセッティングを手伝った以外は、特に何もせずにだらだら。私は特殊技能が身についていないので(毎年受付をやっていたとか、酒の買い出しに行っていたとか、撤収の指揮を取っていたとかいう経験がない)役立たずなのだ。

 本会は時間どおりに無事に始まった。しおしおが、私が司会だと言ったほうがいい?と聞くので、「私が実行委員長だ!司会もやるぞ!」と叫べ、とそそのかしたが却下された模様。

 第一企画は「あの人は今」。この企画で凄かったのは、何といっても司会のかつきさん。どこが「司会向きではない」のでしょう。声も落ちついていて聞きやすく、実に素晴らしい司会ぶり。

 内容は、かなりの数の作家について、近況と新作の説明をしていて、どちらかといえば、ライブスキャナーのような感じ。ちょっとダラダラした感じではあったが、面白かった。「コレは日記などには書かないように」という注意つきの話も色々あったが、それはもちろんここには書けません。

 ワトスンはインターゾーンにコンスタントに短編を書いている、エフィンジャーは火事と洪水にあって、妻に逃げられて借金苦に苦しんでる、ハーラン・エリスンはネットに自分の作品を無断で載せるなという訴訟を起こしている、ヴァーリーは新作を脱稿した、ネットでジャック・ウィリアムスンの名前が上がっていたので、ついに死んだかと思ったら「Happy 94th Birthday」と書いてあった、などなど。
 ベイリーの新作短編の話(島が3つあって、1つの島は進化の頂点が人間、もう1つは寄生虫、残り1つは強い生物に食べられるのが最終目標の人間もどき)が面白かった。

 昼休みは、我々はだらだら過ごしたが、一部のスタッフは次の企画のプロジェクターのことで忙しそうにしていた。そこへ牧野さんが来場され、森奈津子さんが時間を間違えられて、4時前に京都駅に着くらしい、という情報が(企画は4時20分までの予定)。
 え。どこかで聞いたような話だな…6年前に(笑)。「会場を京教にすると女性ゲストが遅れる」という呪いでもあるのだろうか。

 第二企画「SFのロボットはどこまで実現するか」は、プロジェクターの不具合により10分ほど遅れてはじまった。長時間、前でがさがさやっていたため、プロジェクターが正常に映るようになったときには、拍手が。事前準備の段階で、誰かが何かのボタンを触ってしまったのが敗因らしい。

 堀晃さんは、ロボットSFの紹介から始められた。レスター・デル・レイ(『愛しのヘレン』」のひと)が亡くなったときに、新聞社から問い合わせの電話がかかってきたが、結局訃報は載らなかった、そうで;

 筑波のSFアンケートで有名な星野さんの話は、ロボットの解説がとても分かりやすかった。世の中には、アトム・シンドローム(「自律型ロボットを研究しないと人ではない」)がはびこっているのだとか。しかし、自律型ロボットはニーズが少ない。一方、ニーズが大きい操作型ロボ(巨大ロボ系)は人気がない。もしこれが開発されていれば神戸でもニューヨークでも役に立っただろうに、と。

 ロボットを作る上での問題点には、記号着地(物事を認識すること)とフレーム問題(影響が及ぶ範囲に世界を限定すること)があるらしい。これも全くこの手のことを知らない私には面白かった。で、結局はチューリングテストの問題で、要はだまくらかせばよいらしい(?)。

 一方の浅田さんは、実際に研究開発している方らしく、イロイロと胸に染み入る話を。ロボット研究者は河原乞食と一緒である、科研費にもロボット研究という分類はない、とか(ずしっ)。ロボットの心の問題としては、他者の心を推定したり(例の人形を隠す話)、死を感じたりするのが重要らしい。

 その場で流されたロボットがサッカーをしている映像も面白かった。実際の成功率や、パラパラを踊っているロボットも実は…という話も(笑)。あとは、キューブリック・シンドローム(←安易にコンピューターに知性を持たせてしまった)の弊害の話など。
 まとまった話ではなかったが、ロボットにはさして興味のなかった私にもとても面白い企画だった。

 時間を遅らせて始まった森奈津子×牧野修対談は、森さんの代わりに田中啓文さんが登場。『西城秀樹のおかげです』の話など。
 牧野さん発言が面白かった。「SFはバカなものである。『地球の長い午後』とか『宝石泥棒』とか」「天性のものがないと、ギャグを書いてはいけない。そういうものが欠けた人が、書くことほど醜いものはない」
 「『家畜人ヤプー』みたいな作品を書きたい、あれは「俺に気持ちのいい世界」をつきつめた結果の作品である」おお。私もそういう作品が大好き。ヤプーは気持ち悪いけど。

 森奈津子さんは、思っていたより早く会場に到着。あぼさんに先導されていた(笑)。で、ここからは、15禁になるので、15歳以下の方は読まないようにして下さい。

 ちょっと驚いたのが、森さんが「自分ちが本屋さんで自分の本が並べてあったら恥かしい」と言われていたこと。あと、しょっちゅう編集者にエロはやめてください、と言われるそうだ。これはSF作家がSFはやめてください、と言われるようなもの、らしい。

 事前に募集していた質問に答える形で企画は進行。外国のエロは、羞恥をメインとしていない。つまり男勝りの美女が乱れる、というような話はないのだそうで。日本人でよかった、と森さん。
 森さんがエロを感じるものは、とてもたくさんあるようだが、その中でも気になるのがガーターベルト。「今の年齢で結婚していないことには全く不安はないが、メイドさんのコスチュームを着て、美しい女主人にガーターベルトをつけてあげる、というのが夢なのに、メイドさんのコスチュームを着ても可愛くない年齢になるかと思うと暗い気分になる」

 大受けだったのが、高知県在住の西澤保彦さんからの質問。「製作者側に愛がない」ビデオの話など。レズAVビデオを見ていると、最後に男性が出てきて、「やっぱり男のほうがいいだろ」なんて結末になる、と。そうなのか!それはひどいな。何のためにレズビデオを見るというのだろう。これには森さんも怒りを露わにしておられた。

 そこから、男性器は萎えるので、持続に問題のある器官である、それに比べ、指は萎えないで勃起したままなので、男性は性的弱者だという認識を持っている、という話に。だから森さんの作品内の男性には、早漏の人が多いのだそうだ。

 ↑15禁、終わり。
 ところで、企画に遅れたお詫びに、森さんから希望者に、詫び状とシリアルナンバー入りのショートショートを届けてもらえることに。なんてお得な!

 本会企画は無事に終了。会場は5時までなので、大急ぎで机と椅子を元に戻し、さわやに移動。既にさわや先行班が用意を整えていたので、ご飯を食べるなどしてわりとのんびり。本会先行は楽だ。
 オープニング前に、なぜか野尻さんに突然先輩にご紹介いただいたりして(なぜ私の身元までご存知なんでしょう…)かなりうろたえたり。

 オープニングは、小浜さんの人物紹介から始まった。30分と頼んでいたらしいが、本当に30分できっちり終えられたのには少し驚いた。
 クイズは…まあ色々と悔いは残るが、あんなものでは。最初のクイズ、問題を事前に見せてもらっていたので、ああなること(正解者が出ない問題が続出すること)は予測がついていたのだが、家までノーパソを取りに帰るのが面倒くさいために放置したのは怠慢だったかも。
 やばいと思ったので、直前に1問無理矢理作って、準備されていた問題は計11問。5人無事に前に出るかどうか、ドキドキしながら端っこで見物。
 それにしても、解答者を選ぶ問題にカミロイ人問題をセレクトした細井氏、ちょっとどうかと思います。小一時間問い詰めましょうか。

 ジェスチャークイズは、集団ジェスチャーという方法のため、間がかなりダレたが、芸達者な参加者に救われて、一応面白かったような。「万華鏡」がアフサンだと思われたのと、「北斗の拳」が面白かったっす。
 「〜といえばクイズ」は、林さんと野呂さんの一致率に感銘。名大の教育、恐るべし。尊敬させていただきます。で、結局優勝したのは、林さん。さすが、マガジンレビューのためにシリーズ物に苦しんでおられるだけのことは(?)。

 その後は、合宿企画を適当に覗きつつ、その辺をウロウロ。林さんは、20世紀SF考課表アンケートを募集していた。色々データを見せてもらったら、90年代の評価を下げていたのは私だけらしい。でも90年代だけ、本当にそんなに面白くなかったんだよ。将来が不安だ…。
 山岸さんに見せていただいた、あぼさんのレビューとかが載っている昔のファンジンが面白かった。

 企画のほうは「SF作家とアイドルの幸運な出会い」で玩具修理者の宣伝フィルムを見たり(ここでもビデオが作動しないという不具合が発生;)、「出張ダサコンの部屋」を覗いたり。「最もよく読むSFレーベルはどれですか? 」という質問形式の答えから、傾向を推測するのは少し無理があるのでは。

 最後にもう一度ダサコン部屋に行ってみると、縦軸が年齢、横軸が「硬柔」というナゾの表があり、そこに各SFサイトの名を書いた付箋が貼ってあった。横軸が謎過ぎるんですけど。
 この表、あとで大広間に移動されていて、夜中に林さん達が年齢の修正をしていた。下が20歳上が40歳なので、少しの移動でも大きいしね。

 「アンサンブルの部屋」も覗いてみたが、ついていけそうになかったので、玄関で先輩たちの輪に入って年寄りモード。スタッフ名札をつけていたので、色々いじめられました。実行委員長命令に従ったら、スタッフ名札を渡されただけなんですよう。

 第4企画は、鬼畜小屋に行ったらすでに一杯で、ボソボソとされる話を廊下で聞いていた。牧野さんや綾辻さん、我孫子さん、倉阪さんがいて、結構面白かったが、かなり寝ていたので内容はあまり覚えていない。

 あとは大広間でだらだら→女性寝部屋で倒れていた。朝起きると、既にほぼ撤収は完了。エンディング後、荷物の運び出しが終わるのを待って帰宅。

 今年は参加者がとても多かったように思う。もう本当に、さわや収容人数ぎりぎりなのでは。あんなに混みこみで、初参加者の方、ひかなかったかしら。

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