以下には、SF2001 に参加した感想が書いてありますが、基本的にはいつも通りの日記であることをご了承下さい。

8月18日(土)

 朝早く東京駅着。身支度のため、トイレを探してしおしおと構内を彷徨い、その後はベンチのある待合所で、岡田さんが着くまで仮眠。
 7時過ぎに、岡田さん、2回生R君、江川君と合流し、なぜか朝からカレーなんぞを食べて、会場に向かう。

 大会といえば、会場に着く前に明らかに大会参加者とわかる集団を見かけるものだが、どうも今回は見当たらない。海浜幕張駅についても、周りはどう見ても大会参加者ではない女性比が高い若者ばかり。これが例の隣でやってる別イベントというやつか。
 会場すぐ前のエスカレーターを下りてからやっと、見覚えのある(持ち物とか風体とか)集団が。

 時間通りにスムーズに受付が開始され、番号順に封筒を取りに並ぶ。私が指示されたカウンターでは、ちはらさんが立ち働いていた。スタッフはお揃いのシャツを着ていたが、他の人はそうでもないのに、ちはらさんだけコスプレをしているように見える。ウルトラ警備隊、って感じ。

 ウワサの名刺を確認。なるほど、裏はこういうことになってるのね。別にコンプリートしたからといって、どうなるわけでもないのに、裏に24分割(×3)の絵が書いてあるというだけで、みんな必死に交換に走るものなのか。
 お見かけした途端、水鏡子さんに「はい、名刺、名刺」と交換するように言われたのには、なるほど、こーいうもんなんだな、と納得。

 しかし、こんなに多くの人に自分の名前の名刺を配るってのは、考えてみると初体験。しかも本名だし。おかげで色々な人に、なんて読むの?と聞かれる。まあ、それは慣れてるけど…本名です。親がつけたんです。自分でつけたペンネームだと思われると悲しい。

 ディーラーズを少しうろうろ。歩き回っているうちに、さいとうよしこさんとベビーカーをお見かけしたので、しおしおと近寄っていく。をを、トキオ君だ〜。ぷくぷくしてるぞ〜柔らかいぞ〜そしてパパにそっくりだぞ〜(笑)。どうして4か月でこんなに表情が似てるかな。ここで、GUEST最年少と思われるトキオ君の名刺をゲット。

 オープニング開始。オープニングアニメはやはり間に合わなかったらしい。ということで、見事に暗黒星雲賞を受賞した模様。
 その後、名誉実行委員長小松左京の有難いお話を聞くライブ「教養」。何せあまり寝てないので、一部ウトウトしていたのは否定しないが、有難いお話であったことは間違いない。

 さて、第一企画。「ライブ版SFスキャナー」も魅力的だったが、「日本SF論争史パネル」に行った。『宇宙の戦士』の名に惹かれたのだが、元々はせっかく武田議長もいることだし、大日本論争をとりあげる予定だったらしい。波津さんが来れなくて、代わりにハインラインになったのだとか。

 石川喬司さんより当時の経緯の説明。なんと石川さん70歳らしい。私が『宇宙の戦士』を読んだのは大学に入ってからだし、後書きで「どうやらこれは問題になった書物らしい」と知ったのだが(後書きがなければ「ああ、ハインラインだな」と思っただけのような)、この説明で当時の雰囲気がいくばくかわかった気がする。
 当時は、匿名座談会事件の後で、内部抗争がくすぶっていたとか、「どのSFを翻訳するか」ということが、そのまま「SFを作る」こと、文芸への挑戦状になっていた、とか。あと、昔のSFファンは政治を語ったが、オタクの議論は政治的な立場の表明はしない、とか。今は戦争も学生運動もないしねえ。

 初めて見たのが東浩紀さん。SF大会は初めてだそうで、「本当にSF大会って存在したんだ」「受付で横にとり・みきがいて感動した」とか言われていたが、私はとり・みきより生身の東浩紀の方にびっくり。凄いぞ、本物だぞ。
 「ここ30年の文化の動きを見ていると、70年までが理想の時代、70年から95年までが虚構の時代、95年から動物の時代」「『スターシップ・トゥルーパーズ』はビジュアル・イメージのみ。主人公に内面がなく、まさに動物的」などなど。すごい、言ってることが東浩紀だ。

 あとは「自分を外に出すことができない」今の若い世代の問題など。特にまとまりはない企画だったが、パネラーの色々な考え方が聞けて面白かった。
 企画が終わった後、部屋の外で東浩紀さんと名刺交換してもらった。ふふ。

 次は「21世紀のSF翻訳」。山岸さん、大森望さん、嶋田さんをゲストに、鈴木さんの質問形式の企画だった。コマギレの質問に、コマギレの答えが返ってくるという、あまり盛り上がりのない企画だったが、面白い話も聞けた。

 原書を読んでレポートを出すreading の報酬は1本1万から1万5千円くらい、とか、大森さん曰く「最初に1回読まないと訳せないというのは迷信」、単位表示に関しては「SFは読む人が少ないので、マイルでも分かる。百万部売れるなら考える」とか。

 訳すときには、読者がどんな設定?と不審に思わないように訳す、どういう風に演出したらうまくいくか、ということを考えている、とのこと。語句の下に括弧をつけて中に訳註を入れているようなやつは、クリックして参考URLにリンク貼れるようになればいいのに、とか。
 あ、あと題名を決めるのは誰かという話で(決定権は編集者にある)「祈りの海」の邦題は(塩)さんがつけたという話も。さすが〜。

 個人的に、この頃翻訳に興味があるので(笑)、どのように翻訳するか、という話をいろいろ聞きたかったが、よく考えるとそういう話は翻訳講座とかでするもので、大会で聞こうってのがあつかましい話だよな。おまけに、そもそも小説の翻訳に興味があるわけじゃないし(笑)。

 次の企画は「ジェンダーSF」と迷っていたが、その場のなりゆきで「瀬名秀明SFとのセカンドコンタクト」に。でもジェンダー企画は面白かったみたいだし、佐藤亜紀さんがパネラーだったんだよなあ、行きたかったようう(泣)。

 瀬名さん企画は、入り口でSFセミナーの講演資料の分厚い冊子が配られていた。企画はなんと、瀬名さんが、野尻さんのださんを紹介する、という形で開始。予想はされたことだが、セミナーほどは面白くはなかった。
 私がずーっと疑問に思っていた「なぜ瀬名さんはそんなにSFにこだわるのか?」を野田祝ファンジン大賞受賞令子さんが質問。セミナーではたしか「恩義を感じる」と言っておられたが、今回は「SFが好きだから」と。そうだったのか。

 野尻さんの「ハードSFファンは普通のSFファンと違う」という発言に対し、瀬名さんは、「それは、はっきりわかるものなのか?」と質問。すると、会場からハルキ文庫の編集の人が発言「はっきりわかります」。SFファンはハードSFファンと、プロパーとライトにわかれるのだそうだ。私はプロパーだな。自分ではっきりわかるぞ(笑)。
 で、この3者は編集部にかけてくる文句が違うのだとか(笑)。ハードSFファンは「計算してから書け!」、ライトファンは「次の発売日はいつか?」、そしてプロパーは「SFとしておかしい!」。

 ハルキ文庫の編集部には、「SFを読んだら、いじめられませんか?」という電話がかかってきたことがあったらしい。今の時代、子供でもネットを検索してその辺を廻るので、ここ数ヶ月の論争を見て恐いと思ってしまう、と。それは大変だ。
 そもそも、そんなことを編集部に電話して聞くのは間違いだと思うが、まあそれは子供ならやるかもしれない。こんなとこ見る子はいないと思うけど、念のために書いておこう。
 別にSFを読んでもいじめられないし、恐くもないと思います。SFが好きと公言したりすれば、「UFOを信じてるヤツ」と思われるかもしれないけど、黙ってれば大丈夫だし、SFが面白いと思えば読めばいいのです。
 まあ、私は基本的にイデア主義者だし、読む子はいじめられようがいじめられなかろうが読むと信じてるけど。だって面白いでしょ?

 で、「これはSFではない」という言葉だが、瀬名さんは一度だけ似たような言葉を使ったことがあって、それは「これはドラえもんじゃない」。だから気持ちとしてはよくわかる、と言われていた。
 SF研に入って、「何読んでるの?」「グイン・サーガ?ふうううん(あんなのはSFじゃ…)」みたいな会話が、SFの読者を減らしているんじゃないか、という話もあった。でもそういうのは、多かれ少なかれどんな部活でも、入りたてのときはあるものだと思うけど。

 ちなみにしおしおは、その話をきいて「いいなあ、いいなあ」としきりにうらやましがっていた。今はそんなことを言っていては1人も入らない、と。確かに、今はそんなことを言ってる場合じゃないよな。曲りなりにもサークルを存続させていこうと思えば。で「ふううん」と過去に言っていた張本人、水鏡子さんが当時の状況を説明したり(笑)。

 ホーガン好きの野田さんが、ホーガンも色々と論争があって、彼をハードSF作家と認めない人もいる、という話をしたら、「え?ハードSF内部でも、そんなのがあるんですか?」みたいな話になったりも。そりゃまあ「星を継ぐもの」は…(笑)。

 あとは、喜多さんが「SFなんてそんなたいそーなものではなく、瀬名さんがオレが書くものがSFだ、と言ってしまえば、それで収まるのでは」と発言したり。
 瀬名さんは、SFの依頼を受けてもSFを書けなくなってしまった、自分ではSFではなく、自分の作品を書いていきたいと思っている、と言っておられた。

 しかし、なんと言っても一番驚いたのは、セミナー講演録の「はじめに」の中のSFセミナーの説明。
 「SF大会、京都SFフェスティバルと並ぶ、SFの三大イベントのひとつといっていい」
 ひいいいい。京フェスはSFの三大イベントだったのか??というか、セミナーと大会と並べて表示されるなんて、京フェスの運営実態を甘くみてはいけない。まともなイベントと並べては、お天道さまに申し訳が立ちません。
 免罪符にするつもりではないが、京フェスはいい加減なことが伝統と化しているようなコンベンション。知ってる方はいいけど、参加されたことのない方は平にご注意を。

 休憩時間中に、「SFテルミンの実演と体験/ロシア(SF)を語ろう」を見にSF広場へ行く。テルミンも見たかったが、ロシアという言葉に惹かれたのもちょっとあったりして。大きなドーム状のSF広場に、少し足を踏み入れただけで聞こえてくるテルミンの音。思ったよりずっと強力な音だった。

 第4企画は、「ちょっとエッチなSF社会学」で森奈津子さんを拝見したあと、「トランスジャンル作家パネル」へ。小林泰三さん、瀬名さん、高野さん津原さんがゲスト、司会が大森さん。話としては「セカンド・コンタクト」よりこっちの方が面白かったかも。

 色々名言が多いパネルだった。「SFを読んでる人がみんな大会に来るわけじゃない。もしそうだったら1000人しか売れない。SF大会に来ないような人が普通のSFを読む人」「瀬名さんは、SFファンにしつけを教えている。人前でそんな悪い言葉を使ってはいけないよ。愛される人になりなさい、と」
 「『こんなのSFと思ってるの?ふーん』と言われた人が、ずーっと根にもってて、20年後、気がついたらネット上で発言力を持つ人になってた(笑)とか」「本当は『○○に比べればSFじゃない』と言ったのに前半部分を忘れてるんじゃないか」
 「『SFは売れない』んじゃなくて、『SFも売れない』。でも固定読者がいるので、1万部は売れる。瀬名さんには誤差の範囲だろうが、公明党みたいなもんで、投票率が下がれば勝つ」「某G社はSF嫌い」

 あと、「これはSFじゃない」と言う人がいても、みんなまた言ってるよ、と思うだけで、SFファンがみんなそう思ってるわけじゃない、とか。そりゃ、SFファンにもいろいろいるわな。
 「ハードSFは一般のSFじゃない。そこが間違い。ホーガンを入れるかどうかで色々意見が…」には、瀬名さんが「その話、さっきも聞きましたよ」(笑)

 瀬名さんが煽りまくってもあまり反応がなかったのは、クズSF論争でみんな疲弊しているからではないか、と大森さん。去年から、徳間やハルキでSFが出だしたため、小春日和感がある、と。

 私が一番納得したのは、「これがSFか?」に似たものとして挙げられていた「TOKIOはバンドか?」。だって私、今までTOKIOはバンドだと思ってたよ。なるほど〜。
 しかし、この会場にいた人、ほとんど顔を知っている人だった…。世界狭すぎ。

 これで一日目の会議場での企画は終了。ところで、盲点だったのが気温。クーラーが入っているので、寒いのはある程度予想してしかるべきだったのだが、今年はあまりにも暑いので、寒いという感覚をすっかり忘れていた。しかも、なぜか外も涼しい、というか寒い。どーなってるのだ、幕張は。

 SF広場に移動して、赤絨毯の上でしおしおとご飯を食べていると、除々に人が集まりだし、なんかセミナーの夜と変わらない感じに。メンバーが多彩なのと、横で大日本が大きな画面で流れていたり、端っこで延々とアニソンが歌われたりするところが違うが。
 寝転んでいたら、突然アオザイ姿の女性に襲われて、全身揉んで貰ったりもした。ありがとうございました。結局、ここで8時過ぎから4時過ぎまで延々とだべっていた。

 SF広場にあったモノリスは、この頃には注連縄が張られていて、賽銭箱が置いてあった。注連縄張った人、えらいよなあ(尊敬)。みんな名刺に願い事を書いて、側に置いたり、モノリスに挟んだり…モノリスってこういうもんだよな。そりゃ突然黒い板が出現したら、注連縄はって賽銭あげてお祈りするっしょ。
 もちろん、私としおしおも願いを書いた名刺を置いて、お参りしてきました。

 パーティーが終わった後から人が増えだし、名刺交換に走る。三村美衣さんには、裏を見て「君、ダメ」と交換を拒否されかける(笑)。結局、知り合いや、話したことはないけど顔と名前は知ってる人、それに交換して欲しい有名人、が主な交換相手で、知らない人とはあまり交換しなかったよーな。交換しても、しただけで話してないとか。初参加だったとしたら、これが話の接ぎ穂になったとは思いにくいけど、でも話したことのなかった人と言葉をかわせたのは大きいし、楽しいアイテムだったと思う。

 で、林さんと、ゲットした名刺の名前勝負とか。一枚ずつ出し合って、書いてある人の強さで競うのだ(イヤな遊びだな…)。裏のコンプリートにあまり興味がない人間は、こういうことに走ってしまうのか。
 もちろん(塩)さんの名刺もゲット。ふふ。本物の名刺ももらったことあるけど(←自慢)。後で、のむのむさん達と一緒に(塩)さんとお話しできて、いろいろ興味深かった。マガジンの売れ行きの話とか。  しかし、つい、bk1のコラムはまだですか?と聞いてしまったのは、悪かったです。ごめんなさい。すみませんでした。

 背後では、永瀬さんと東浩紀さんがずっとしゃべっていて、東さんに聞きたいことがあるらしい、のむのむさんと輪に加わる。そのうち、なぜか70年代生まれで語る輪、みたいなものができて(80年代生まれも混ざっていたが)、東さんの話をきけることに。
 東さんは、子供の時にアニメおたくへの道を歩んでいたり、高校生の時に某アイドルの実家まで追っかけをしに行ったりしていたらしい。おたく文化に詳しいというか、おたくだったわけだ。
 東さんの著作をしっかり追いかけているわけではないので、話に加わりにくかったのと、ムズカシイおたくの話になっていたので、ややついていけなかったが、面白かった。

8月19日(日)

 さて、4時過ぎには、転がってるマグロの隙間に場所を確保して、しおしおと横たわって寝る。体を伸ばせる、というだけでも随分違うよなあ。ありがたや、ありがたや。

 ふと音に気付いて顔をあげると、ラジオ体操をやっていた。第一が終わると、今度は突然ジャカジャカいいだして、かなりの人数の集団が、一斉に足踏みして前に進んだり後ろに進んだり。夢うつつのなか、目の前で集団がエアロビする姿を見るなど、そうそうできる経験ではない。恐るべし>大会。
 あのインストラクターの人、本職なんだろうなあ。大会に来る本職のエアロビインストラクターって想像できないものが。眠くなかったら、私も参加したかったけど、あの集団を半分寝ながら後ろで見物、という経験の方が貴重だったかも。

 で、ごそごそ起きだして用意をして、朝のクイズ大会に行ってみる。4択形式で、会場から人数をしぼって賞品を渡すというもので、運が大きく関係し、見ている分には大して楽しくなかったが、禄でもないことを知っている人間はデジコ人生ゲーム(←でかい)持ち帰りの刑に合う、というスタンスは正しいのかも。

 広場では、銀色のヘリウム風船を配っていた。ヘリウム風船はロマンだよね〜。早速もらって、連れて歩く。あっちでもこっちでも、銀色の風船を持った人がいて、この後の企画部屋でも、ちらほら宙に浮いていて素敵な感じ。

 2日目の第一企画は「21世紀のSF翻訳」に。高橋良平が司会で、嶋田洋一、大野万紀、中原尚哉、山岸真、柳下毅一郎内田昌之、幹遥子、それに最後だけ大森望、という豪華メンバー。高橋さんが翻訳家に質問形式という形で、元にしているらしい質問は唐突な感じのものもあったが(どこかで公募してたのかしら?)、さすがに面白かった。

 矢野徹は一時期とてもまじめで、マガジン経由で翻訳の添削をしていた、とか、内田さんが最初に訳したのは、たぶん『ポンとあけよう、カロピー!』だとか、細美さんはカードの『無伴奏ソナタ』だったとか。

 どうやってプロの翻訳家になったのか、という質問の答えは、ほぼ全員がコネ。ファンジンに翻訳を載せていたら、参加していたファングループの人達が編集者になっていったので(大森さんとか小浜さんとか)というのが多かった(笑)。

 SFだけを訳して生活されているのは、中原さんだけ。やっぱり、それだけでは無理なのか。そういえば、キャサリン・アサロの題名はやっぱり覚えられないらしい(笑)。

 嫌なことは何か、という質問に対しては、柳下さんが、スラディックを訳す時に、せっかく日本語で駄洒落を思いついても、全然面白くないのがイヤ、内田さんは、頑張って訳しても、ホーガンやバクスターはああいうものにしかならないので、苦労が報われない、のだとか(笑)(←文章についてのことで、内容についての批判ではありません)。た、大変そうだ…。

 今ではネットがないと訳せない、という話も出た。Googleで語句の使い方を引いたり、造語かどうかを調べたり。山岸さんは、ネット環境にない時は、ネットがなくても検索できる、と言っていたが撤回します、と。内田さんは「ネットはよく使っていて便利だが、その分他人の日記を読むので、所要時間的には差し引きマイナスかも」(笑)。

 さて、訳してみたい&訳しなおしてみたいもの。嶋田さんは、ニール・R・ジョーンズ!是非〜。柳下さんは、既に訳したラファティの長編が眠っているそうで。
 内田さんは、訳しなおすという考え方もあるが、翻訳者資源の有効活用を考えると、訳しなおしはしたくない、と言われていた。それもそうだなあ。ううむ。翻訳者資源の有効活用。

 これから訳されるものは、中原さんは、ウワサの指輪より長い(笑)『クリプトノミコン』。
 大森さんは『フリーウェア』。とうとう出るのか…『ソフトウェア』と『ウェットウェア』を読み直すのが面倒くさいな…。それとウィリス。『ドゥームズデイ・ブック』の続編と、その続編の"PASSAGE"。"PASSAGE" は、臨死体験を扱っていて、「BRAIN VALLEY」みたいで、コメディーで、宮部みゆきで、最高傑作らしい。なんか楽しみなような心配なような。

 最後の企画は「にせハードSFのネタ教えます」。いつもの前野さんがお休みで、菊池さんが代わりにやるのでニセらしい。途中で眠気にまけて意識を失ったりもしたが、面白かった。

 ネタは…まあ素人にはわかるはずもないのだが、まずは例年通り、超光速航法のお話。宇宙船をバブルに入れて前を縮めて後ろをのばす(←コレは覚えてたぞ)。今回は、行きは通常空間で行って、その時に後ろの空間をゆがめてtubeを作っておく"Superluminal subway"というものの紹介。行って戻ってくると超光速航法になってる、と。でもこのtubeを保つためにはやっぱりエキゾチック物質がいるらしい…。

 面白かったのは"Many worlds in one"という論文。多世界は実在するらしい。我々が認知できる空間には限りがあり、遠くは見ることができない→見えないけど、とてもたくさん世界がたくさんあるはず→ということは多世界と一緒→そのうちに宇宙がどーにかなるので(膨張するのかな?)隣の世界が見れる、ということらしい。もちろん隣の世界と接触したら、影響を与えあうだろうし、第一、隣の宇宙がこっちと似ている可能性は…(笑)。でも、魅力的な話。

 あとは、最近発表された論文で、「なんかの数字を決定してみたら、他の数字が全部現実の数字と合っているので、やっぱりこの宇宙は計算されてたんじゃないか」という話とか(所詮私の理解はこの程度)。

 さて、エンディング2部。1部には行かなかったが、暗黒星雲賞はオープニングアニメとモノリスだったらしい。みらい子さんが、柴野拓美賞をとってはった。すげえ。

 さて、星雲賞。海外短編部門は順当に『祈りの海』。よかった。去年のことがあるから、みんな『百光年ダイアリー』は避けたのでわ。つくづく去年は残念だった。
 長編部門は予想通り『フレームシフト』…まあ、他に票を集められそうな作品がなかったんだし、欲しがってる人の手に渡るのが、幸せでいいような気はするが…。
 投票総数は400くらいだったそうで。でも棄権が一番多いだろうし、実質はどれくらいなものなのか。そもそも「大会に来る」と「SFを読んでいる」が重ならない以上、やや虚しい賞ではあるよなあ。

 で、かねてから言われていたが、武田議長は本当に引退して、後任は牧紀子さんとの発表が。雲の上のことだが、顔を知ってる人なので、ちょっとびっくり。

 エンディングが終わった後は、会場の外でしばらくたむろ。ここでも名刺交換に走ったり、トキオ君を前抱きにしているあぼさんから、トキオ君を抱かせてもらったり。

 さて、残った自分の名刺は21枚。貰ったのが84枚。2枚くれたスタッフの人(スタッフ名刺と参加者名刺)が3人くらいいたけど、モノリスに1枚奉納したし…計算が合わんぞ〜。話が出ていた「翻訳家コンプリート」はたぶんムリ。そもそも何をもってコンプリートとするのか(笑)。

 今回の大会、企画と企画の間が30分空いてたのは、ちょっと不満だった。運営上はそのほうがいいだろうけど、中途半端に時間が余るし、もう少し短縮すればコマ数を増やせて、もっと企画が重ならなかったかもしれないのに。←結局行きたい企画に行きそびれた私怨のような気もするが。
 パネルは、無茶苦茶面白かったというものはなかったものの、名刺や、素敵な風船、ありがたいモノリスなど他のところが楽しかった。

 石山さん、後藤さん、岡田さんに、江川君、私、しおしお、R君で会場を出発。ご飯を食べようと、駅近くのそば屋に入ると、部屋に案内してくれた店員の女の子が、「SF大会にいかれたんですよね?」 は?なぜわかる?「私も行きたかったんですよー」 !?い、行けなくて残念だったね。

 石山さん、後藤さんとは途中でお別れし、残り5人で、本屋経由でマクドに居座って時間をつぶし、首尾よく夜行バスへ。


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