7月1日(木)

 娑婆1日目。朝起きたときから、なんとなく気分がよい。病院に行くときもうきうきし、意味もなく開放感にあふれている。
 新しく廻る科は神経内科と内分泌内科。いきなり担当患者15人持ちなので訳がわからない。その上午後は回診でつぶれ、あまり仕事がすすまなかったが、娑婆に出たことだし、ということで8時には無理やり帰る。
 一緒に娑婆に出た同僚は、この病院では循環器科以外は廻っていないので、いちいち感動していていた。曰く、こんな昼間から売店に行ってジュース買ってもいいの?昼ご飯の後、くつろいでもいいの?
 家に帰ってからも思わずサラダなど作る。スーパーが開いている時間に帰ったので、スーパーでたれぱんだこんにゃくゼリーとたれぱんだたんめんを入手。いろいろあるもんだ。そういえば病院の売店で売っていた、たれぱんだうちわの袋の裏の広告には、お手玉たれぱんだの新しいバージョンが載っていた。すいかを持っているたれぱんだでとてもかわいい。あれも欲しいな。

7月2日(金)

 今日は何もイベントがないので、ゆっくりお仕事。急変する患者もあまりいないし、めでたい。ただ看護婦さんの質が、やはり循環器科と比べるとかなり落ちる。同じことを何人もの看護婦さんに何回も聞かれたり(伝達するシステムが悪いのである)、ちょっと面倒くさい指示だと、何だのかんだのと言って実行しようとしないし(循環器科では必要性さえ理解すれば、どんなにややこしい指示でも受けてくれる)、ぺちゃくちゃくだらないことをずっとしゃべっているし(暇なのである)。一番看護婦の能力の高い病棟から、急に低い病棟に来たのでギャップが大きい。

 一緒に娑婆に出てきた同僚と、顔を合わせるたびに2人でなんとなく微笑んでいるので、不気味に思われる。廻りの先生からも、笑顔が多いな、と指摘される。
 夕方から研修医の歓迎会。

7月3日(土)

 今日は日直。
 この頃自分の時間通りに起きる能力に信頼がおけなくなってきた(私は目覚ましさえかけておけばあまり寝過ごさないほうで、寝起きも良いほうなのだが、こないだ疲れているとき、病院から電話をさんざんかけられ、枕元に置いてあったポケベルを何回も鳴らされてさえ起きなかったので、不安が芽生えてきたのだ)ので、今日が日直だと思うと熟睡できなかった。日直の何がいやって、朝8時半までに絶対に病院に行かないといけないことである。
 午後は医者の控え室で、ふかふかめの椅子を3つ並べて3時間ほど熟睡。平和な日直だった。

7月4日(日)

 昨晩10時に寝て、起きだしたのは朝10時。12時間睡眠。贅沢、贅沢。
 四条に出る。ビブレの地下のたれぱんだくじ(1回500円)で、4等のたれぱんだぬいぐるみをげっと。べべたの5等でも携帯ストラップで500円以上するから、実はかなりお得なくじでは。たれぱんだぬいぐるみはお腹がパンヤで重くてとてもかわいい。
 そのあと、バーゲンなので、一応買い物をすることにする(ほとんど義務)。新しく買った服を着るのは好きなのだが、買い物をするのは嫌いである。似合うか似合わないかみるのが面倒くさいのである。専門の似合う服を選んで買ってきてくれる(あるいは作ってくれる)人がいる身分になってみたいものである。あとはピアス。不思議なもので、ピアスだけは選ぶのが面倒くさくない。ピアス屋を2軒廻って、1つ買う。

7月5日(月)

 いかに暇な神経内科とはいえ、7時前に病院から出るには、それなりに出るつもりでいないといけない。6時40分ころ慌てて病院をでて、四条烏丸へ。住民票を取るためである。四条烏丸に区役所の出張所みたいなところがあるのだ。区役所に行くよりは便利ではあるが、土日やってないし、7時には閉まるし、もうちょっと何とかならんもんかねえ。
 帰ったら、眠気におそわれすぐに寝てしまった。起きたのは1時半。また夕食を食べずに寝てしまった。今朝計った体重は今までの体重−4kg。循環器科に入ったとき−2kgで、まだ回復していない。これ以上減るのはさすがにいやだぞ。きっと夕ご飯を食べれば戻ると思うんだけど、なんかご飯より眠いのに負けるからなあ。

 1時半に起きてから『バトル・ロワイヤル』を読む。こういう設定ものは大好きで、これもそれなりに面白いんだけど、中学3年のがきどもはきっとこんなに賢くないぞ。誰も親を求めて泣き叫んだりせず、好きな男の子や女の子ばかり求めるってのも不自然な感じだし。あと最後もちょっとなんだか。でも後味の悪さがなかなかでした。まあ子供には読ませたくないかも。さすがに某新人賞を受賞できなかっただけのことはありますね。
 本を読んでいたので、寝たのは4時過ぎ。

7月6日(火)

 たれぱんだぬいぐるみを毎日病院に連れて行っている。患者さんの中にも同じような大きさのたれぱんだぬいぐるみをベッドにずっと置いてる人もいるけど、負けないぞ。
 今日も入院が入って16人持ち。まあ明日1人退院するし、いいか。
 午後は救急当番なので、午前中に仕事を急いで片づける。救急当番というのは、救急室に来た患者を1番に見る当番のこと。で、救急室に来るのは救急を要する重症患者が多いかというと、うちの病院の場合、そんなことは全然ない。どちらかといえば、一般の診療の受付時間を過ぎたからといって救急外来にまわされてくる患者が多いのだ。単なる時間外診療である。だから救急当番だと、午後1時から5時過ぎまで、ずっと救急室で患者を診続ける(事実上外来診療)というはめになることもある。救急当番の日は憂鬱である。なんたって、普段の仕事はその合間にやることになるのだから。循環器科は救急当番がないので、今日は2か月ぶり。患者は軽いのばかり4人。まあ、ましな方だろう。

 今日気づいたけど、6月特に最後の方はとてもきつかった胸痛が7月2日以来全くない。6月は本当にしばしば胸痛があって、まあこの歳だから肋間神経痛だと思うけど、実は川崎病で冠動脈瘤でもあって狭心症なんじゃないだろうか、それで急性心筋梗塞で突然死するんじゃないだろうか、とか疑ったものだ。第一肋間神経痛だとしても、おそらくストレスによるものだろうし、治す方法がわかならい。その胸痛が循環器科を出て2日目、7月2日から全くない。私って実は心因反応が出るほどやわだったのね。何にしろあの胸痛がなくなって本当に嬉しい。実際かなり痛かったから。

7月8日(木)

 たれぱんだのぬいぐるみを持っている患者さんの担当は同期の子で、今日その子が患者さんに私が対抗意識を持っていることを伝えたらしい。その患者さんは即座にバンダイのおまけのたれぱんだフィギュアを同期の子に渡し、私に渡しといてと言ったとのこと。フィギュアは親子たれぱんだでかわいい。

7月10日(土)

 昨日から親が旅行に行っているので、今日は実家に帰って犬の相手。9時まで寝ていたので、実家についたのは11時すぎ。しかし犬も昼間は普段寝ているので動きがにぶい。横で眠っているのを見守るだけ。それでも私のお昼ご飯は欲しがる。
 横で私が寝ていると、足をひくひく動かし次に「わんわんわん、うー」と小さい声で鳴きはじめた。寝言である。うなされているのか、なんなのか、よくこういうことがある。こういうときに抱き上げると、「えっ、何があったの、何?」てな顔をするので面白い。
 3時すぎには家を出る。今日は当直。

7月11日(日)

 当直は大したことは何もなかった。入院患者ゼロ。10時前から7時過ぎまで寝ていた。
 昼前からイズミヤで買い物。たれぱんだクッション(というよりたれぱんだの絵が描いてあるただのクッション)を買う。あとはたれぱんだの携帯電話用電池とか、おてだまたれぱんだの夏版とか。めかたれぱんだのおてだまが秀逸である。

 夕方高校の時の友人から電話がある。今年の夏の旅行のことでだった。今年は今まで何の連絡もないので、もしかしたら今年の幹事は私では?と(幹事は2人1組で6年ごとに廻ってくる)おびえていたのだが、どうやら私ではなかったようだ。めでたい。
 情報に遅れていたのだが、友人の一人が結婚したらしい。結婚式はまだらしいが。こないだ別の人の結婚式の二次会で、「次に結婚するのは誰だ」トトカルチョをやったのだが、果たして当たっていただろうか。どきどき。

7月14日(水)

 今日も当直。循環器病棟に行ったら大変なことになっていた。集中治療室は満床。どっかの病院から運ばれてきた超重症患者、昨日の夜に来た謎の心肺停止患者、それに心筋梗塞などなど。あっちでもこっちでもばたばたしている。「この吸着は誰のだ」なんて言っている。吸着というのは、物凄く重症の人に数回だけやる処置で、誰のだって、そんなに多くの人にやるものじゃないのだ。こんな夜に当直だなんて。とほほ。
 このままじゃ、PCPS(人工肺)1台、IABP(大動脈バルーンパンピング、心臓の補助)2台、サーボ(人工呼吸器)3台、回路(透析器械)4台なんてことになりかねない。
 新しい入院1人。真夜中に回路のトラブルがあったりして何度も起こされ、眠い。

7月17日(土)

 今日はSF研の七夕コンパ。とても久しぶりに吉田山に登る。

7月19日(月)

 どうやら循環器病棟ではPCPS(人工肺)がまわっているらしい。明日当直の私はPCPSの説明会に呼ばれた。すっごい太い管が体の中に入ってて、回路の管の中には1L血が入っているらしい。何か起こった時の緊急時の処置だけ学ぶが(とにかく30分頑張れば上の先生が現れる)、説明を聞く他の研修医の顔も引きつっていた。
 家に帰ると、涼しくて眠くなった。あまりに眠いのでちょっとふとんで、と寝ると、結局21時から8時前まで寝てしまう。

7月20日(火)

 夕方から恐怖の当直。
 しかし恐怖だっただけで(いろいろ不安材料があったのだが)入院もなく、ゆっくり眠れる。

7月22日(木)

 朝から負荷試験。その後、神経伝導速度に筋電図。回診にカンファレンスと行事続き。それから新入院の処置。

7月26日(月)

 今日は当直。同僚の子が8月から循環器科を廻る予定で、とてもおびえていて(周りにいる循環器から出てきたばかりの私たち2人が、「大丈夫だって、絶対ひどい目に会うから」となぐさめの言葉をかけるため、おびえが助長されているのだが)、「激烈な環境の変化には耐えられない」と言うので、循環器科の病棟に一緒にいって、晩御飯を循環器科の病棟の医者の控え室で食べることにする。この控え室というのが、他の病棟に比べ一段とせまく、全くもってくつろげるという言葉から程遠いところなのだ(しかし、循環器科では他に居場所がないため、ここでも天国のように思えてくる)。案の定、借りてきた猫のように大人しくなった同僚は、控え室でご飯を食べながら、さらに陰鬱の度を深めていた。

 準夜帯に入院が2件。1件は、よく知っている患者さん(かわいいおばあちゃん)だった。それとこけて頭打った入院患者が1人。1時過ぎに寝る。
 と、3時に透析の機械が止まって起こされる。そこで、機械を組み直し。最近組んでいないのだが、全く組み方を忘れていない。体が覚えているので、考えなくても手が勝手に動くのである。なんと恐ろしい。これが一段落ついたのが、5時前。
 まだ眠れると思って寝ると、6時に外来に不整脈の患者がくる。この不整脈は自分で止められるやり方があるのだが、それをしても駄目なのだという。仕方がないので、薬の用意をして使おうと思った瞬間、患者さんが自分で止めてしまった。まあ、早く片がついてよかった。
 寝せてくれようとか思いつつ7時前に当直室に戻るが、今度は病棟の患者の調子が悪いので診てくれ、てなことで、結局あまり眠れなかった。しくしく。

7月27日(火)

 当直明けというのは、比較的気を張っているので、あまり眠くない。しかし、昼は30分くらい意識がなかったし、疲れていたので、7時前に病院を退去。家に帰って片づけを少しするが、12時頃に意識がとぎれる。


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