6月16日(水)

 23時前に帰れる。敗血症の患者はよくなって外科へ帰ると思いきや、再び状態が悪くなり循環器科に居残り。
 担当患者が1人すてる。

6月17日(木)

 同僚の先生が忙しすぎ。彼のピンチヒッターを私と先輩であちこちでつとめる。マラソン中に熱中症になって倒れたMOF(多臓器不全)&DIC(播種性血管内凝固症候群)の患者(要するに状態がとても悪い)が来る。

6月18日(金)

 循環器科全体があまりにも忙しすぎてもう訳が分からない。昨日のMOFは悪化している様子。大騒ぎ続く。
 22時過ぎに帰宅するが、24時前に持続透析回路が止まり、新しいのを組みに再び病院へ。だが、ほとんど当直の同僚がやってくれていた。

6月19日(土)

 10時前に病院へ。15時過ぎに帰宅。すこし昼寝。

6月21日(月)

 担当患者はまだ持続透析をしているが、仕事は早めに終わる。

6月22日(火)

 担当患者に夜中にトラブル発生。再挿管されていた。

6月23日(水)

 持続透析回路が夜中に止まったが、当直の先輩の先生が組んでくれていた。有り難いことである。
 敗血症の患者は抜管(人工呼吸器をつけるために口から気管まで管を入れることを挿管、抜くことを抜管という)した。生きてる人から抜管するのは初めてなのでちょっとどきどきした。

 1年上の先輩に、たれぱんだテープメイトとたれぱんだぐみをもらう。たれぱんだぐみに入っているおまけのフィギュアがとてもかわいい。
 仕事は早く終わる。21時過ぎには帰宅。

6月24日(木)

 今日で循環器科の木曜日は一生来ない。万歳!
 一緒に6月から娑婆に戻れる同期の子と2人で指折り数えて待っている。
 この頃眠くて眠くて仕方がない。家に帰ってもすぐに泥のように眠ってしまう。

6月25日(金)

 今日はなんと19時前に帰宅。循環器をまわって初の快挙。
 帰ってからやはり寝る。もういくらでも眠れるのである。不思議だ。

6月27日(日)

 久しぶりに河原町の本屋へ。法月さんのご本(『法月綸太郎の新冒険』)の第二刷が出ていた。
 5月の新刊で出ていたのを見逃し、ある日(6月はじめ)病院の廊下で、バケツの下にひいてある新聞紙の新刊書の広告に『法月綸太郎の新冒険』と出ているのを見つけ、思わず叫び声をあげ急いで日付を確認してみると5月だったときのショックは忘れられない。最近本屋に行ってなかったからなあ、と急いで本屋をまわろうと思ったが、大きい本屋は9時までしか開いてないし、小さい本屋には売ってない。書店注文しようとした矢先、第二刷が出たのだ。

 早速買う。初版じゃないのが悲しいが、第二刷が出るというのはめでたいことだし、いいや。『エラリー・クイーンの冒険』と『新冒険』は私はあまり好きではないのだが、『法月綸太郎の冒険』は素晴らしかった。さて『法月綸太郎の新冒険』はどうなんだろう。たのしみ。

 同時に先月のハヤカワの新刊『キリンヤガ』と『リメイク』、それに『バトル・ロワイヤル』を買う。そんなに買って読む暇があるのか、という疑問はとりあえず無視することにする。しかし『リメイク』が薄いのにはびっくり。それでも580円。昔の私なら買わなかったかもしれない。文庫本は高いねえ。

 本屋の隣のディスカウントのお菓子屋に何の気なくふらふらと入ったら、なんと!長い間探していた「お手玉たれぱんだ」を発見。全5種類のうち4種類をげっとする。顔はあんまりたれぱんだっぽくないが、かわいいのでよしとする。たれぱんだテープメイトも売っていてこれで全種類揃えた。

 アニメイトで「さくら大戦2」のCDを入手する。「夢の続き」がカラオケで一度聞いて以来好きになったからだが、「さくら大戦2」のCDなんて、レンタルCDショップや普通のCD屋さんには置いてない。「夢の続き」が聞きたいだけなのに、アニメイトまで行かなければいけないとは。

 23時30分頃電話がなる。「○○さんがアポった(脳梗塞を起こした)みたいなんです。すぐ来て下さい」病棟からで、担当患者が痙攣を起こしているという。今までのことがあるので、最悪の覚悟をして(行ったらきっと挿管していてデマンドで酸素送っていて、心マ(心臓マッサージ)しているだろう。そして2時間心マし続けるてなことになるのだろう)行ったが、挿管はされていたが、心臓は動いていた。
 すぐに頭のCTをとるために、患者を1階に連れて行く。CTを撮るためのベッドに患者を移したのだが、もともと力が弱いうえに、このところの気鬱と忙しさのため、27日は全く絶食、26日の昼以来食事を摂っていなかったため、全然力が出ない。放射線技師さんに「先生は全然あかんなあ。かよわいから」と言われてしまった。9月から放射線科を廻って技師さんと暮らすのにそんな噂が広まっては大変である。患者の処置をして2時半頃に帰るが、これ以上衰弱して「力がない」噂が広まるのは避けたいので、食べ物を食べてから寝る。

6月28日(月)

 あと3日で娑婆に出れるというのに、全く心が浮き立たない。もう1日とても我慢できないという感じ。それに眠い。
 外科から来た敗血症の患者が外科に帰って行った。せっかく抜管して意識がよくなりお話できるようになったところだというのに、残念である。結構お茶目な性格の人だった。
 昨日の急変の患者は今日は落ち着いていた。

6月29日(火)

 あと48時間。循環器科を出れる私ともう1人の同僚は、時間を数えて暮らしている一方、もう1ヶ月循環器科を廻ることになっている先輩は暗い顔をしていた。1人取り残される上、代わりに廻ってくる3人は循環器科は初めての人たちばかりで、持続透析の回路も組めない。その3人を教えつつ、自分の患者数も少くなるわけでもなく、かつ重症患者が来た場合、まだ新しい3人には無理ということで、自分が担当にさせられることは目に見えているのだ。うーん、かわいそうすぎる。
 持続透析の回路は2台廻っているが、2台とも研修医3人でよってたかって組むので、わりと早くできる。3人とも回路を組めるからこうなるのだが、来月からはどうなるのか……
 17時過ぎから担当患者の様子がおかしい。ばたばたする。

6月30日(水)

 5時半に、ポケベルがなる。昨日急変した患者の血圧が下がっているという。やっぱり。私は引継ぎ直前になると、担当患者が亡くなることが多いのだ。おそらく夜呼ばれるだろうと思っていたので準備はしていた。そのまま病院へ。
 患者さんは明け方亡くなった。
 しかし、その患者さんが一番忙しくさせていたもとだったので、急に暇になる。引継ぎをすませ、循環器科の病棟の机から、別の病棟の机にお引越し。やっと娑婆に出れるという実感がわいてくる。
 帰りに2時まで開いている本屋に寄り、『たれぱんだ』を入手。1300円は高いと思うが、まあ絵本と思えばそんなもんだ。


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