5月21日(日)

 ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』を読み終わった。題名だけは聞いたことがあったが、イスラム革命後のイランという全体主義国家で、女性の文学部教授が自宅で学生を集めて読書会をする話だった。文学の話とイスラム革命やイラン・イラク戦争の話が入り混じり、最初の章は延々と人物紹介されることもあって、若干読みにくいが、文学部が何を学ぶのか全く知らない身としては、普通に文学講義も面白かった。

 大学の授業で行われたギャッツビー裁判(退廃や金持ち信仰や不倫が批判される。共産主義者みたい)や、反抗的なヒロインが登場する小説が出てきてから現実が変わったこと、ジェイムズの主人公は、最後に勝利して自尊心を手に入れるが、幸せは手に入らないこと。あらゆる選択肢が奪われたときの自由の可能性を追求しているらしいナボコフが個人的に面白そうだと思った。

 イスラム革命はタリバンみたいな印象で(いや派閥が違うが)、女子結婚可能年齢を18歳から9歳に下げ、美人は逮捕して看守で輪姦し、結婚してから殺すし、声を出したり楽しそうにするのは反イスラム的なので会合が開けなくなる。元国王の墓を壊して公衆トイレを作るし、兵士に地雷原を歩かせて地雷除去するし、爆撃があると宗教警察みたいなのがバイクで数人やってきて、救助活動を妨害しつつ「ホメイニ万歳」「アメリカに死を」と叫ぶ。曰く「イスラム政権の罪は共感性の欠如」。

 革命後の締め付けの強さは揺れ動くが、「改革派が力を持つときこそ、保守派との衝突がおこり不安定になる」ということもあるのか、結局著者はアメリカに亡命する。一方で、著者も学生達も衣食住には不自由しておらず、著者には使用人もおり、デモに参加したために逮捕歴があり、パスポートを出してもらえない学生も、海外脱出するお金はあったり、ごく一部のインテリ金持ち層の話なんだな、という感はある。

5月22日(月)

 木乃は逃げない穏やかな性格なので、散歩中、短時間ならその辺に繋いでおける。図書館で本返して、予約の本借りるぐらいなら、お座りして待ってる。

 スナクの顔を見るだけで腹立たしいので、私にも愛郷心があることが分かった(それは愛郷心ではなく愛お好み焼心なのでは?)。

 もぐ、相変わらず弁当を完食できたりできなかったりなので、今日は姉の弁当がないのをいいことに、生姜焼きキャベツ丼にした。ワンプレートなら完食できるか?

5月23日(火)

 いかなごが「今日は珍しく友達と一緒に帰って楽しかった」と言うので、なぜいつも友達と帰らないのか、と聞くと「話す話題がない」(誰かの話でもすれば?)「人のいないところで陰口を叩くことはしたくない」(悪口を言わなきゃいいのでは?)「褒めるべき点は思いつかない」などと言われて、段々いかなごの生活が不安になってきたら、S君「もぐ、ママは疲れてるからな。今日は早めに風呂沸かして」。いつもより早めに、一番風呂に入れていただきました。

5月24日(水)

 簡単なものなら、古着物買ってきて(解いて洗って縫って)1週間でワンピースにできることと、派手かなと思っても意外に大丈夫だったり、地味に見えても変だったりするのが、なかなか驚き。

5月25日(木)

 結局、用尺が足りないとティアードしかないのよねえ…貧乏人は労力で補えと。

 最近買った大島の柄が謎で、調べても全く分からず、いかなごと頭を捻っても分からず、大島の織元さんにダメ元でメールしたら、「雪輪」だと教えてもらった(有難や)。なるほど、雪と花を合わせた柄なのね。まだまだ人力に頼ることは多いね(ネット普及してなかったら、分からなかっただろうけど)。

5月26日(金)

 立ち仕事の患者さんがいて、今の病状では無理なので、配置転換をお願いしないとねえ、という話をしたのだが、我が身に置き換えてみれば、明日から放射線診断か精神科ね、とか言われても無理だな。

5月27日(土)

私「どう?地味な保護者会スタイル」
S君「大丈夫、髪がたくさんあるおばさんな感じ」
 生下時からのハゲがあるので、こういう時は確認が要る。

 S君が喉が痛くてお粥が食べたいというので、昼は学校休みのいかなごを連れてお粥屋へ。予想通り喜んでいた。
いかなご「ここ、私抜きで、もぐとパパとママで来たことあるの?」
私「あるけど、君は胎児の頃に来たことあるから許して」

 ついでに近くの古着物屋に入荷した絞りの羽織を見に行き、いかなごに合う色を購入。しかもこれ、全くの新品だわ。

 もぐの保護者会は何というか…1時間半以上かけて通ってる子がいて大変そうだった。という話を聞いたいかなご「それ、私」。

5月28日(日)

 S君とアマオケの公演を聞きに行った。バイオリン協奏曲のソリストが凄過ぎて目が離せなかった。もちろん音が凄いんだけど、見かけも猫娘みたいで格好良かった。プロコフィエフの5番のコンミスの人も良かった。あと、ホルンは難しいんだなあ、と思った。

 ガビドゥリン『ワグネル プーチンの秘密軍隊』を読み終わった。著者より訳者より監訳の名前を大きく表示する売らんかな精神にちょっとびっくり。フランス語版からの翻訳なのでこうなってるのね。ロシア軍をクビになったが、軍隊生活が好きなので傭兵になった著者が、傭兵部隊での暮らしを語った書。綺麗ごとのみを書いたんだなあ、という感じだが、それでもルハンシクの病院には兵隊にDVで顎を折られた女ばかり入院していたとか、シリアのアサド政府軍のダメっぷり(兵士はすぐに逃げる、指揮官は責任を押し付ける、内輪揉めに明け暮れる)と、そのために海外からの支援武器や援軍があっても、延々と反政府軍に勝てない様子、ワグネル内部でも迫撃砲の現場猫案件で簡単に死者が出るなど、おそらく本来は表に出てはいけない実情が垣間見られる。専門用語が多くて、少し読みにくい。

5月29日(月)

 ああ、既に疲れた(2人送り出し終了)。働きたくないでござる。

 大雨の中、バイクで誕生日ケーキを濡らさずに運ぶお仕事完了(ぜいぜい。

 てことで、いかなごさん@17歳「あと1年で選挙権が」「早く自立できるように頑張ります(にこっ)」。親からの誕生日プレゼントは、雪うさぎクッション、水色うさぎ柄晴雨兼用傘、うさぎの本、うさぎポーチ、うさぎ柄キュロット。S君が買ったうさぎの本、世界各国のうさぎ系ことわざが載っていたが、解説が超絶適当でなかなか面白かった。もぐからは「もぐに言うことをきかせる券50回分」がプレゼントされていた(豪華)。

5月30日(火)

 吉野ヶ里遺跡の墓が開けば、またS君(九州出身)と私(畿内出身)の家庭内きのこたけのこ戦争が再燃しそう。

5月31日(水)

私「木乃はどうしてこんなに可愛いんだろうねえ。犬だからかねえ」(定期)
S君「シーズー協会にメールで聞いてみれば」

 ウォーカー『喜びの秘密』を読み終わった。『カラーパープル』にも登場するタシを主人公に、女性器切除(とカルト味のある反政府勢力)について語った小説。「切除しないと、陰唇が徐々に大きくなり、男性を受け入れることができなくなる」と教えられる(周囲はみんな切除を受けているので、切除しないとどうなるかなんて分からない)というのが、なるほど、という感じ。黒人奴隷がみんな女性器切除を受けているのを見て、アメリカで白人女性を従順にするために、女性器切除を受けさせた、という話も書いてあったが、にわかには信じ難い。あと「膣唇」なんて訳語はどうかと思う。一般的な解剖用語を使って欲しい。



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