11月21日(月)

 いかなご「ママは性根が腐ってるよね」(その言い方はどうなんだ)
 S君「いや、ママは性根や性格は悪くないんだよ。問題は選り好みが激しいこと」
 なるほど?

11月22日(火)

 いかなごさんが学校で長所短所を書かされるそうで、悩んでいた。
いかなご「そういえば、お母様の長所は?」
私「…タイピングが速い」
いかなご「それは性格ではない」
私「じゃあ、猫をかぶれる」
S君「長所っぽく言わないと。『人当たりが良い』」

 検討の結果、いかなごさんの長所は「好奇心が強い」「愛嬌がある」に落ち着いた。モノは言いようである。

11月23日(水)

 モリスン『ビラヴド』を読み終わった。逃亡奴隷だった女性がとある事件を起こし、その後幽霊と暮らすことになる話。よくできた小説で、だんだんと事情が分かってくるところが面白い。黒人奴隷女性は「いつ(売られたりして)取られるか分からないから、子供を愛してはいけない」(だから当然自分の親からも愛されないで育つ)「子供を愛せることが即ち自由」というのがなるほど、という感じだった。それは本当にそうなんだろう。

 あと盛大な宴会や、助けを求めないことが周囲の妬み嫉みをかう、というのは田舎あるあるか。ずっと殺風景な家の中にいるので「色」を求める、というのも印象的だった。

11月24日(木)

 あまりに木乃が可愛くて「可愛いねえ!」と発作を起こす(1日10回ぐらい)私に、S君は最近「ほら、また心の声が漏れてるぞ」と注意することにした模様。

11月25日(金)

 寒がり仲間の職場の人と「気温が下がると生きていく気力なくなるよね」というあるある話をした。

 「凄く良くなってますね。カニでも食べましたか」と患者さんに言ったら、「先生にとってのご馳走はカニなんですか」と海有県出身のスタッフに突っ込まれた。

11月26日(土)

 美人の後輩に久しぶりに遭遇した。
私「あんな子と毎日一緒なら、旦那さん(同級生)は幸せだろうな」
S君「いや、君も見かけは問題ないんだよ。問題は性格だよ」
 悪かったな。

 最近スマホの調子が昔のパソコン並みに悪くて、ついにペンギンの島が立ち上がらなくなった…。そしてS君がOSアップデートしてくれたら、さらに挙動が遅くなった。

11月27日(日)

 アレクサにタイマーしてもらって、お知らせされると、S君と私は「アレクサ、止めて」と言うのだが、いかなごは「アレクサ、止まって」と言う。

 医局に行ったら、色々な人に「先生の勤め先、いいですね」と言われまくった。確かに良い勤め先だけど、運の良さを妬まれてる?

 今の勤め先の良いところは色々あるが、なんと言っても「科別で収益を見られない」「他科とギスギスしていない」辺りが珍しいと思う。

11月28日(月)

 八木『5千万人のヒトラーがいた!』を読み終わった。初版83年。西ドイツ在住の日本人の著者が、ヨーロッパ各地での反ユダヤ感情についてまとめた物凄い本。西ドイツの下宿先のおばさんが、冬のコートばかりたくさん持っていて、一着売りつけられたら左胸に黒いシミがべったり(コートは夫が軍務先から送ってきてくれたもの)とか、見るからにユダヤ人の顔が描かれた装身具が売られているとか、フランスでアーリア化が行われた時は、ユダヤ人からの略奪物に控えも出さなかったとか、1940年にブカレストの屠殺場でユダヤ人虐殺が行われたとか、ロシア軍がユダヤ人の子供を誘拐して強制的に徴兵したため、ボルガ川で集団投身自殺が起ったとか。

 著者本人が見たり、知人から聞いたりしたことが書かれているので、参考文献など全くなく、これはどこまで本当の話なのかと思ってしまうが(なぜか「強制収容所」に「トランス二ストリア」とルビがふってあったり、日本語が微妙におかしくて、校正なしなのか?と疑ってしまうこともあり)、もともとヨーロッパに反ユダヤ主義が根付いていること、ホロコーストからのユダヤ人の脱出を、周辺国は積極的に支援しようとしなかったことを、これでもか、これでもかと語っているのは凄い。

 79年にスイスでドラマ『ホロコースト』放映後にシナゴーグが破壊されたとか、82年にドイツでヤニナ・ダヴィドの自伝のドラマ化が放映されたという、当時のリアルタイム情報もあり(なるほど、ドラマ化されたから、85年に日本で邦訳が出版されたのか)。しかし、いくらタイトルに「ヒトラー」を入れなきゃ分からない、とはいえ、このタイトルはどうなんだ。

11月29日(火)

 藤本『塩を食う女たち―聞書・北米の黒人女性』を読み終わった。エッセイと短いインタビューを合わせた感じ。70年代にアメリカの黒人女性から話を聞いて日本語で書いたものは珍しかったのかな。黒人女性の特殊性を強調しているが、貧困階級かそうでないかの違いも大きそう。

11月30日(水)

 私(全力で舐めてくる木乃に)「木乃、あんた私のこと、カモネギだと思ってるでしょ。なんでも赦されると思ってるでしょ…そうだよ、カモネギだよ。何でもしたいことしていいよ」
 S君「その犬への愛を他のことに向ければ生産的なんだが…」



過去の日記の目次に戻る。

日記に戻る。