12月1日(水)

 今日から内科に復帰。消化器科である。肩にかけた聴診器が、3ヶ月間かけてなかったので、妙に重い。なんだか嬉しいな、引き継いだ患者の数も6人と少ないし、とぼちぼち仕事をしていると、いきなり救急室に呼ばれる。午前中は救急当番だったのだ。救急車で意識状態の悪い患者が運ばれてくる。と、診察している間にもう1人似たような症状の人が救急車でやってくる。2人とも頭のCTをすぐに撮る必要があり、放射線科を出て半日もたたないうちに、放射線科にお世話になるはめに。結局1人は肝性昏睡で入院となって、消化器科を廻っているために私が担当となり、もう1人は脳梗塞だったので、神経内科に引き取ってもらった。この時点で12時過ぎだったが、まだ風邪の人だのがいる。その人たちを全部診て病棟に上がったのが1時過ぎ。半日はこれでつぶれてしまった。

 午後からまだ会ってない患者に会いにいったり、週末の発表(なんか神経内科のセミナーで発表することになり、スライド作ったり大変)の準備をしたり、午前の緊急入院の患者の面倒をみたり。7時から放射線科の歓送迎会で、私は送られる身なので、絶対に遅れるなと厳命を受けており、慌てて仕事をすませて歓送迎会に出席。宴会の席で、はやくも病棟からポケベルで呼ばれる。宴会後、病院に戻って少し仕事をして帰宅。

12月2日(木)

 朝、8時半ぎりぎりで病院に到着。暖かいお茶を買って消化器病棟にある医者の控え室にのぼり、冷え切った体を暖め、髪を上に上げる。原付通勤でヘルメットをかぶるため髪が上げられないので、いつも病院に到着後に上げるのだ。
 昨日緊急入院した人の今朝の採血データをチェック。あまりよろしくない。と、隣のナースステーションから呼ばれる。どうやら胃の静脈瘤破裂疑いの人の担当になったらしい。とりあえず、その人はおいといて、昨日の入院の人の様子を見に、救急病棟へ渡り廊下を通って移動。この移動が半端じゃない。大した距離じゃないのだが、階の移動があるため片道3、4分はかかる。一日に何往復もするんだから、この時間はばかにはできない。移動を少なくするように効率よく仕事をするのが早く仕事を終わらせるこつなのだが…患者の状態によってはそうもいかない。
 救急病棟に行って患者を診察し、点滴のオーダーを出して、また消化器の病棟にもどる。そこでいくつか薬の処方を出したり患者に会いにいったり、主治医の先生(研修医の私達と一緒に同じ患者を見ている上の先生、まあ早い話が上司っすね)の話を聞いたり。そうしているうちに今日担当になった人が胃カメラをしに行くのについていって、用意をしたりカメラを見たり。幸いなんともなかった。と、救急病棟から、私の担当患者が消化器病棟へ移動するので、移動に付き添って欲しいと呼ばれる。普段なら移動に医者が付いたりしないのだが、何せこの患者さんは状態が悪い人なので。移動後も痙攣がはじまったりして、処置でばたばた。
 他の患者さんに会いに行ってカルテを書きつつ、明日の発表の読み原稿をプレサリオ君で作成する。その間に、救急病棟から点滴がもれたので再度点滴の針を刺して欲しいと看護婦さんに呼ばれたりする。いつもは研修医同士で食堂に行ってご飯を食べるのだが今日は忙しいので、パンを買ってぼそぼそ食べる。
 それから自分の患者さんの大腸ファイバーを見に行って、薬を変更。と、この頃から今日移動した患者さんの容態はますます悪くなり頻回に呼ばれる。その合間を縫って、一番遠い病棟へ患者さんに会いに行き、治療計画を立てて点滴を出す。移動の最中に別の患者さんの主治医に会ったので方針を聞き、検査の依頼用紙を書いて提出。それから1週間後の学会発表の調べもののため図書室へ。その後はカンファレンス。カンファレンス中に病棟に呼ばれ、状態の悪い患者さんは亡くなった。死後の処置をいろいろ。それから明日の発表の予演会が1時間ほど。

 そのあと病棟に上がってカルテを書いていたら、今度は1週間後の発表のスライドのことで呼び出される。この発表を一緒にやることになっている上の先生がものすごく要領が悪く、常識がない上にリーダーシップをとりたがり、人に仕事を押し付ける、という医者・看護婦から嫌がられている人なのだ。このひとと話をしていると気が狂いそうである。今日はスライドの原稿をなおすようにといわれ、
(その先生)「これくらいなら土曜日までにできますね」
(私)「ええ、すぐできますよ、今すぐでも明日まででも」
「私土曜日当直ですが、早くから病院にきてますのでその時にでも持ってきてもらえれば」
「いや明日でもできるんですが」
「そう、明日までにできるね。何せ発表は来週でもうすぐだから早くできないと困るしね。土曜日までにはできてもらわないとややこしいし」
「だから明日には持ってきます」
「そう、とにかく早くやっておいてね」
という会話となり、私は笑いだしてしまった。明日スライドができたら何か困ることでもあるんだろうか。とっととその先生の前から去り、消化器病棟で原稿をなおす(ちなみに5分かからなかった)。それから明日の発表の読み原稿をなおして、帰宅。
 なにせまだ担当患者が8人と少ないので、仕事も楽である。

12月3日(金)

 今日は、去年以来はじめて胃カメラをさせてもらう。久方ぶりで緊張。胃カメラをする前には、まず自分で胃カメラを飲め、というのがここの消化器科の方針で、今年初めて廻る同僚と、他科から見にきている研修医と、去年も飲んだ先輩が飲みあいっこをしていた。私は去年、別の先輩と飲みあいっこをしたので、今回はパス。というより私はすごく反射がきついたちでえずくので、初心者むきではないのだ。
 胃カメラというのはすごくしんどい、というイメージがあるのだが、実際飲んでみたらそれほどではない。確かに苦しいのは苦しいのだが、我慢できないほどではない。かなりえずくほうの私がそうなのだから、平気な人は結構平気である。胃カメラはしんどいので胃透視をしてほしい、という人がいるが、放射線も浴びるし、重いバリウムを飲んで苦しいところをあっち向いたりこっち向いたりしなければいけない胃透視よりはよっぽどカメラのほうが楽だと思うのだが。

 6時に忙しそうにしている仲間を見捨てて、神経内科の先生と発表の会場へ向かう。20分ちかく一人で話さなければいけない発表なので、原稿通りに話すだけとは言っても、話すだけで体力を消耗。途中で受けた質問では、質問の意味がわからなくて、黙ってしばらく固まっていた。顔を上げたら代わりに上の先生が答えてくれたけど。

 疲れたので、家に帰って荷物をおいて、田中邸に遊びに行く。田中邸には年寄り(5回生以上)がたむろっていた。前に加藤君(会長閣下、京フェス実行委員長、2回生)が目撃したという昔の京フェスビデオの入っているらしいダンボールのありかを田中君に聞くが、わからないらしい。仕方なく加藤君に電話して場所をたずねる。加藤君ははっきり場所を知っていて、すぐに見つかった。どうやら昔の京フェスの荷物は加藤君が整理したらしい。恐るべし、加藤君。
 しかし、ダンボールの中にも京フェス’96のビデオは全部は入ってはいなかった。合宿と本会が何本かと、編集バージョンが1本。編集バージョンの中に「ときめきビレニアム」が入っていた。直後に1回みたきり、ビデオの在処が不明で見たことがなかったのだが、あらためて見てみるといろいろ発見がある。全員が結構大声を出して、恥ずかしげもなくしっかり歌っているとか、細かいふりはいろいろミスしているが、大きなところはきれいにそろっているとか。何回も練習しただけのことはある。しかし私が言うことじゃないが、みんなよくあんなにしっかり歌ったり踊ったりしてるな。あとは、あの当時みんな髪の毛が長かったとか、実は会場の人々は手拍子してたのねとか、指揮者KM君の人文字「B・A・L・L・A・R・D」は観客ではなく、歌っている側に向いていたとか。あと、私が今より太っていたのにも結構驚いた。今より3Kgくらい重かったので、その分太って見えるんだろう。あの頃は楽な生活してたんだろうな。
 その後、「ときめきビレニアム」をファイルに落とそうと試みたが、空き容量が1.5GBいるらしく、とりあえず今日は断念。3時過ぎに帰宅。

12月4日(土)

 昨日3時過ぎまで起きているという慣れないことをしたので体がしんどい。
 夜古漫画屋で、『ヤヌスの鏡』の文庫版を買う。ドラマの印象が強かったのでもっとけばけばしい絵かと思っていたが、案外きれいな絵だった。ちょっとびっくり。1巻しか買わなかったのだが、続きをどうしても欲しいというほどではなし。

12月5日(日)

 HPを作っていて、リンクさせることに初めて成功。長い間飛ばせずに苦労していたのだが、原因がやっと判明。そもそもHTML文書の拡張子がHTMなのかHTMLなのか不思議だったのだが、それを確認しておかなかったのが悪かったのだ。私の買ったHP作成のための本は、例がMacで、拡張子はHTMLと記述してあり、おかしいよな、私の拡張子はHTMなのに、と思いつつ、何も考えずに本の例に従った私が馬鹿だった。HTMにしたら問題解決るんるんるん。それにしても、確かにMacで例を書きますが、ウインドウズでもほとんど同じです、とか書いてあるのもどうかと思うぞ。

12月6日(月)

 なぜかどうしても金曜日のような気がして、仕事がはかどらない。
 昼間はばたばたするが、比較的早く仕事が終わったので大学に行く。しかし勉強会はお休みらしい。しくしく。助手の先生が来年4月からのバイトの話をしてくれる。深く考えてなかったけど、もう半年ないんだし、そろそろ考えなければ。4月からは学生なので、当直バイトをして生計を立てるのだ。

12月7日(火)

 新患が2人入ってこまねずみ状態。1回放射線科を廻ると、顔を覚えられているので、検査をすぐにしてもらえることが多くて、仕事がスムーズに進んで助かる。どういう手順で検査が進むかわかっているので先回りもきくし。本当はこういうことじゃいけないんだろうけど、実際は物事ってやっぱり人間関係で進むものなのね。

 夕方土曜日の学会発表の準備があり、またあの不愉快な先生に会う。学会発表で共同演者がその先生だというと、仲間の研修医たちがみんな心から同情してくれる。その統一した同情ぶりには驚くほどである。でも同情されなくていいから、あの先生と話をしなくてもすむようにして欲しい。ちなみにその先生と同じ日に当直にあたると悲惨なことは言うまでもない。リーダーシップをとって訳の分からない指示を出すのだから。

 夜は消化器病棟の忘年会。看護婦さんが医者のものまねをやっていて面白かった。最後に残ったカクテルをもったいないから一気に飲んだら、結構酔ってしまった。病院に戻って酔いをさましてから原付で帰る。


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