12月16日(木)

 今日はわりと穏やかな日々。救急当番だったけど、1回も呼ばれなかったし。なんか幸せ。
 家に帰ってきて、森さんの発言を知る。私の名前をあのえらい三村さんと並べないで欲しい!恐れ多過ぎる!

12月17日(金)

 今日は午前中に胃カメラ2件、午後にERCP2件、IVH挿入1件で、忙しかった。その上入院が入ったが、ここのところ患者の退院ラッシュと死亡ラッシュで担当患者数が1週間で半分になった先輩が、代わりにとってくれると言うので、好意に甘えてとってもらう。
 胃カメラは2件とも途中までやらせてもらった。来年から基礎にいく私が胃カメラを覚えて何になるのか、という気がしないでもないが。もしかしたら何かが起こって半径500km以内で唯一の胃カメラに触ったことのある医者になるかもしれないしね。何事も経験。
 午後のERCP(逆行性膵胆管造影)は見てて雑用をするだけ。これは胃カメラに熟練した先生でないとできないのだ。終わったのが4時。IVHカテーテルを入れるのは、状態が思わしくない患者なので、週末に入る前に絶対に入れたい。しかし、日勤帯の看護婦さんの交代は4時半、IVHを入れるには最低30分はかかるので、4時にははじめなければならない。ERCPが終わった途端、2000年問題の演習のための停電の中、消化器病棟に全速力で走る。
 ということで日中は手技ばかり。カルテを書いて、薬・点滴を出しはじめたのが5時過ぎ。
 今日は当直。しかし、何も起こらず、仕事を終えるとすぐに10時過ぎには寝る。

12月18日(土)

 とはいえ、やはり何もないという訳にはいかないもので、3時頃病棟の患者のことで呼ばれ、あとはi.v.(静脈注射)で呼ばれたり。静脈注射といっても、たいがいは点滴をしている人にするので、点滴の管についているコックから液を注入するという、猿でも全く問題なくできる仕事である。でも、基本的には医者がすることになっていて(薬によっては看護婦さんがやってくれる病棟もあるが)起こされる。今日は別の病棟にいたこともあって、行ったときには注射器がコックに接続された状態になっていて、本当に「押すだけ」だった。犬でもできるわな。
 家に帰ってきてパソコンいじりとか『Yの構図』読んだりとか。SFはやっぱり読んでない。

 今日はSF研のクリパ。例年通りジュネスで行われた。のんびり飲んでいたせいか、あまり酔わなかった。毎年クリパでは最後の撤収の時は何が何だかよくわからない状態になっているのだが、今年は意識クリア。亀井君はやはり終了寸前にやって来て、ほとんど撤収だけしていた。さすが撤収隊長である。
 その後はカラオケ。年寄りばかりの部屋だったので(8回生相当が2人、7回生相当が2人)古い歌ばかり歌っていた。今日ちょうど我孫子武丸の『殺戮にいたる病』を読んだところだったので、岡村孝子の「夢をあきらめないで」を歌って満足。『殺戮にいたる病』は読み返すとなかなかいいですね(笑)。
 12時過ぎたところで、みんな別のカラオケ屋に移動して、5時間1300円カラオケに行くつもりらしいが、私は遅くまで起きていると体調が狂うので帰る。体調まで心配するようになってしまったのが悲しいが。
 今日もしおしおは絶好調のようであった。なんか見てるとかわいいので構いたくなる。だが、「Arteさんのことがちょっと恐い」とか言われる。周りの人々が色々とあることないこと言っているせいらしい。M総統が「あの人は猫をかぶるのがうまい」と言ったとか。よくわかっているではないか。私は大学時代も自分の大学ではずっと猫をかぶっていたし、今も猫をかぶって偽善者として(笑)働いているのだ。しおしおの言うように「30枚も」かぶってはいないが。だがそのことと中身が恐いかは別。全然恐くないよ、もちろん。それに私は7つも年下の後輩を(特に中学・高校まで一緒とあっては)いじめたりはしません、はい。
 帰りに今出川で後ろからパトカーにつけられ、止められる。こういうときは大人しく止めるのが一番。お上に逆らってはいけません。「こんな時間とは、アルバイトの帰り?」って学生と思っていただいたらしい。ありがたいことである。「コンパだったんですけど、6時からで1時間くらいしかお酒飲んでませんし、大丈夫だと思います」と、嘘つきな私。でもまあ、3時間は飲んでなかったし、無事パス。

12月20日(月)

 患者数も12人に減ってそろそろ退院ラッシュが目前に。従ってわりと暇。今日もIVHを入れる。今日の人は、前の担当医が首から入れよう(IVHには内頚静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈、と主に3つのよく入れる部位があって、大腿静脈が1番入れやすいが不潔になりやすい、鎖骨下静脈は入れるときに気胸という合併症が最もおこりやすい、とか色々それぞれ問題がある)としたけど、入らなかったらしく足から入れたという人で、今回は首から入れる予定だった。確かに入りにくく(首が曲がらないのだ)ちょっと難航。1時間かかる。それにしてもなんかよくIVHいれてるな。

12月21日(火)

 検査につきあっていたら、昼ご飯を食べそこねる。
 年末のため、予約入院が減ってその分楽。ここぞとばかり、みんなで早く帰る。
 帰ってきて混ぜご飯を作る。やっぱりかつおだしがおいしい。こないだ作ったときは昆布だしだけにしたら、味が薄くて。
 あの事故の大内さんがついに亡くなったらしい。随分早い時期から挿管してて(=人工呼吸器にのせていて)、結構前に透析廻して(=腎不全になってる)、カテコラミンも極量までいっていると新聞に載っていたので、よくもったな、という印象だ。致死量以上の放射線を浴びているとはいえ、30代だし、ほとんど未知の状態なのだから、医療側がぎりぎりまで治療しようとするのは当然だが、ご本人も家族も、そして医療側もさぞかし大変だっただろう。

12月22日(水)

 今日は大学の研究室の忘年会。一次会はかにすきだった。かになんてお目にかかるのは、何年かぶりかもしれない。従って如何にかにを食べるのが面倒くさいか忘れていた。いらいらする。しかし、飢えていたのでもくもくと食べる。
 来年から同学年になる予定のM2(修士課程の2年)の人に、「この人いったい誰だろう」と不審がられていたことが判明。去年の冬にちょっと実験に行っていたときのことらしい。夜に2、3時間だけ現れて、引き出しから我が物顔に実験用具を引っ張り出す(だっていいって言われたんだもん)私はさぞ不審人物であったことだろう。「僕よりは絶対若いし学生(学部生ってこと)かな」と思っていたそうだ。やった、近づきさえしなければ、私はM2にも年下に思われるのね、とちょっと満足。

 2次会のカラオケボックスの予約まで20分ほどあったので、ゲーセンにぞろぞろ。UFOキャッチャーに目を引かれる。たれぱんだ正月ぬいぐるみだの、たれぱんだ飲茶セットだの、たれぱんだ重箱セットだのある。しかし、コップ類は四角い箱に入っているので、キャッチするのは難しいじゃないだろうか。と、正月ぬいぐるみの前に立ってじっと見ていると、一番右奥に鏡餅の真似をしているたれぱんだのぬいぐるみがある。大きいたれぱんだの上に小さいたれぱんだ、その上にみかん、といかにもとっかかりがありそうである。ということでやってみると、とれてしまった。UFOキャッチャーなんてほとんど初挑戦に近いのだが。とれた瞬間、周りにいた3人の見ず知らずの女の子から「すごーい」「かわいい」となぜか手放しの絶賛を受けてびびる。ということで鏡餅も手に入れたし、正月準備は万全。

12月23日(木)

 クリスマス前だし、ケーキを焼く。スポンジケーキを焼いたが膨らみが足りない。

12月24日(金)

 患者数が少ないし、退院も多いのに忙しい。当たり前だが正月にはみんな外泊したがるので、その算段も大変。そもそも家にいられないほど体が悪い人が入院しているので、その人たちが無理をおして家に帰るには色々工夫が必要となる。退院する人の近くの医者への紹介状を書いたり。今日は3通。
 今日は頼まれてゼク(病理解剖)に入ったのでさらに時間をとられた。私の担当の患者さんではないのだが、担当の先生が外来の日で解剖にずっと付き合えないので、代わりに入るように頼まれたのだ。これで1時間以上とられる。

12月25日(土)

 起きたら13時過ぎだった。びっくり。寝過ぎて体がだるい。
 このところ毎晩「映像の20世紀」の再放送を見ているので、テーマが頭をまわっている。
 SFオンラインの野尻さんの京フェスレポートをみる。これは決して喧嘩を売っているわけではなくって、と事前に説明してあるのが面白い。
 しかしやはり京フェスはサーコンなのだろうか。なんか「まじめな」というところに大層疑問を感じるのだが。1回生の頃から、「京フェスは日時と場所さえ決まればできるんだ」と洗脳されてきたもので。さらに、「よく間違われるのだが、京フェスを主催しているのは京フェス実行委員会であって京大SF研ではない。」確かに建前はそうだけど……。どうでもいいことではあるが、実動スタッフは「京大生とそのOB」ではなく、「京大SF研会員とそのOB」ですね。京大SF研会員ではない京大生も、実行委員会に入っているみたいにも読めますから。

 内容は、確かに野尻さんからみれば、こう見えるだろうな、という全く予想のつく内容だった。野尻さんは「いまどきの若いSFファン=YAを読む」「年寄りのSFファン=YAを排撃する」という構図を強力におしすすめているようで。ヤングアダルトが読めない私は(あの軽い展開と軽い口調が私には耐えられない。まず「小説として」YAの出来が悪いと認識してしまうのだ)今どきのSFファンとは認められないんでしょうね。仲澤君と同期入会なんですけど。
 まあでも私は野尻さんが望む波風が立ったとしても、波風の埒外にある身のようなので、つまんないから波風が立たないように祈ろう(笑)。
 あと、前々から気にはなってたんだけど、キャラ萌え野郎ってのは男子限定なのだろうか。野郎っていうぐらいだし。キャラ萌え論争はあまり見物してないので詳しいことは知らないけど。キャラ萌え野郎向きのゲームってほとんど男の子向けでしょ(偏見?)。

 島田荘司『展望塔の殺人』を読む。島田荘司だねえ。別に特別面白いというわけではないのに、読んでいると気持ちいいので読んでしまうというのは、ほとんど筒井康隆ですな。
 夕方からたあの写真をjpgに加工してもらう。坂元君、大感謝です。
 夜中、森さんから、4年前に描いたトリフィドの絵がメールで送られてきた。4年前さる事情で描き、地方BBSにアップしたものだが、森さんとこに残っていたらしい。うちにも探せばあるが、mag形式で、私には変換できない。森さんが茅原さんとこに送ろうかと言ってくれたので、有り難く送ってもらうことにした。久しぶりに見ても、やはりひどい出来である。でもなんか原作に忠実であろうと細かいところを頑張っているのがわかる。暇だったね、あの頃は。


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