11月20日(土)(承前)

 今日は京フェス。ここ一年間どこのコンベンションにも行ってないので、久しぶりでどきどき。
 芝蘭会館に着くと出口があまりにも静かなので本当にやってるのかとちょっとびびる。去年と同じ部屋で、部屋の前には我がSF研期待の大型新人塩崎さん(通称しおしお)が受付をやっている。いいぞ、まず入口で京フェススタッフに若者ありとその姿を見せびらかすのだ。

 第一企画は「新世紀の巨匠 グレッグ・イーガン」。イーガンの未訳長編のレビューが面白かった。最初は全然小説技術がなってなかったイーガンだが、この頃の作品では向上しているらしい。だいたいレビューだとなんでも面白そうに聞こえるけどね。私は『宇宙消失』しか読んでないので『順列都市』のネタはわかんなかったけど、なんかとんでもないオチらしい。山岸さんのお相手役の我がSF研の新入5回生細井さんはほとんどしゃべってなかったけど、山岸さんは調子よくしゃべっていたので、あんなもんでよかったんじゃないだろうか。
 昼はしおしおのクラスがNF(11月祭、京大の学祭のこと)で焼きおにぎりを売っているということで券を買わされる。なんか一回生という感じでいいっすねえ。
 しかし昼前の企画からすでに人がいっぱい。こんなことでいいんだろうか。去年もいっぱいだったんだし、やはり会場狭すぎなのでは?

 二番目は「活字消失〜印刷と出版の未来」。小松左京関係のえらいお方の中西さんをはじめて目撃。なんか京大SF研出身の人ばかり5人ぞろぞろ前に出るというすごい企画だった。
 オンデマンド印刷の本がわりときれいなことに感心。ちゃちいのはちゃちいんだけど、思ったより普通の本みたいになっている。その本が完全にコピーでできている(印刷ではない)とか、2分でコピーして製本して反対側から本の形になって出てくるとか、面白い話を聞いてしまった。2分で本の形になるなんて、私には魔法としか思えない。しかしこの機械がコンビニに導入されて、絶版本がコンビニで簡単に手に入るようになれば便利だろうなあと思いつつも、何年もかけて古本屋廻ってやっと見つけたあの本やこの本はどうなるんだ、と心穏やかではいられない(笑)。
 あとは、中西さんの子供さんが、インターネットの特定のHPにアクセスするのを楽しみにしているとか、昔のHPの画面を保存しているところがないとかが、結構ショックな話だった。今の子供は私がドリフをもう一度見たい、とか思うレベルで、あのHPの画面をもう一度とか思ったりして、しかも保存されてなかったりするんですね。
 中西さんは将来紙不足になる、と力説されていた。確かに、中国やインドで識字率が上がれば紙はたちまち足りなくなるに違いない。本にものとしての愛がある私としてはこれも気になる話題だったが、この場ではあまり問題にされてなかった。
 それにしても、司会の実行委員長岡田さんのまとめがすごすぎ。ではこれにも未来がないということですね、とかいって何もまとまらないままに一言で片付けていた。

 三番目は「ヤングアダルト総括」ということで、喜多さんと小浜章子(三村美衣)さんと京大SF研の仲沢君が前に出る。失礼ながら喜多さんと三村さんでは例年の合宿での話と似たようなものでは、と思っていたのだが、日頃からの心の叫びを糧に仲沢氏の激しい突っ込みが入り、会場は大受けであった。「喜多さんはゲームをされますか?」とか「SFマガジンを読む人はヤングアダルトなど読まないという思い込みがあるのでは?」とか。「人はヤングアダルトを卒業するんじゃなくて中退する」とかいう名言も。
 個人的に感動し、ためになったのは、三村さんの「声を大きくしていれば、いつかは通るかもしれないので、いつも大きくしている」という発言だった。そうか、声を大きくしていれば、その意見は通るのね。そういえば周りでも声が大きい人の意見が正しいようになってるもんな。私も声を大きくするようにしよう。周りの声など気にしていては負けである。

 外に出ると、四番目の企画で急遽前に出ていただくことになった野尻さんの名前の札を手書きで書いている江川君の姿が。しかし来た途端いきなり仕事させられるOPってのはよくある話だな。いつぞやの河村さんみたいだ。それにしても目を引くのは江川君の髪型。何の真似かわからないが、付け毛をつけてターバンまいて毛先を上に立ててロック歌手のよう(ってこんな表現しかできないのがおっさんみたいでやだが)。その前にあまりにも覚束なく京大SF研の二十周年記念宴会の説明をした廣瀬や、この江川君や、あの仲沢氏が同期だとは……。うちの学年っていったい。

 四番目の企画は「H2ロケット・レポート」ということで、笹本祐一さん。えらい作家らしいという認識はあるのだが、私は作品を読んだことがないので、SF大会やダイナコンでよく見るきさくっぽい作家の人というイメージ。
 笹本さんの撮ったH2ロケットの発射シーンビデオが流されていた。あんな300秒とかからカウントダウンするとは知らなかった。数かぞえる人は緊張するでしょうね。このカウントダウンが結構盛り上がるんですよねえとは野尻さんの弁。たしかに。ロケットが上がるところを見ると、結構やれやれえ、頑張れえ、てな気分になるものだ。この失敗を日本の宇宙開発がどう乗り越えるかによって日本の未来が決まるとかいう話だったが、本当にそうだと思う。

 今年は特に働かされなかったので、昼間の企画をほぼすべて聞くことができた。京フェスで昼間の企画をすべて聞いたのは、8年目にして今年が初めてだ。今年はオープニングクイズが英保さんの持ち込み企画だったのが大きいに違いない。去年は、午前中は病院で仕事してて、午後一で来ても会場の外でオープニングクイズの問題選定とかしてて企画を聞いた記憶がない。しかし、酒の買出しとかは坂元君とかがやっていた。7回生相当が中心になってやってるてのも問題あるような。でもまあ車の運転ができたり、酒が適量買えたりするのにはスキルが要るからなあ。
 企画終了後、来年のゼロコン(片仮名で書くと四角張ってるな)の紹介ビデオが流される。来年の会場はハマコンと同じパシフィコ横浜らしい。しかし大ショックだったのが、「ハマコンから7年」という言葉。そりゃ初めて参加したSF大会がハマコンなんだから、7年でいい訳なんだけど私の頭の中では7年は経っていない。うおお、誰か助けてくれ。

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