2月11日(月)
五輪男子ショート・プログラム滑走順。ジェーニャは18番。よかった〜!29人連続で順位をつける五輪SPで、一番滑走でも引かれたらどうしようかと思ったよ。
第4グループのトップで、ヤグディン(14番)より後の滑走、となかなかの位置。他のメンツもわりと偏りなく散らばっている。
日曜の練習を見たアメリカのレポーターによると、「プルシェンコはまだ怪我をしていて、調子はあまりよくなさそう」らしい。ええいっ、んなことわかっとるわいっ!ジェーニャ、頑張って!
好きだけと期待はしていないユンフェイ(日本の放送では「り・うんひ」)は17番。楽しみだわ(久しぶりにお目にかかれる)。
寝不足で瞼が痙攣する。昨日体力を温存した甲斐がないぞ。大学に行って、そのまま当直先へ。この寒さで原付30分通勤は凍りつきそう。
2月12日(火)
朝起きてTVをつけると、ウォザースプーンが転けたとか。う。
午前中の外来はまたしても忙しかった。終わると同時に飛び出して、原付を飛ばしに飛ばし、なんとかペア最終組までに帰宅。
ペアフリー。練習滑走中にサレーがアントンにぶつかって、まずびっくり。男子で同じようなことが起きませんように。って今さらプル・ヤグがぶつかるとも思えないが。
先に滑ったベレ組(ロシア)。プログラムはタイスの瞑想曲で、ファイナルの時と違って、はっきりした赤と黒の衣装。ラストも変わっていて流れもよく、本当に素敵だったが、アントンがダブルアクセルでミス、ツイストも危ない感じで、スローは両方とも不安定な着氷。終わった時点でこれは駄目かも、と思った。
次のサレー組(カナダ)はノーミス。私には淡々と滑っているだけにも見えたが、この時は観客のベレ組へのあまりの冷たさにムカムカしていたので(あからさまに拍手しないようにしている客がたくさんいた。ひどすぎ)そう思えただけかもしれない。この時点で、本人達も周囲も私も、サレー組の勝ちを確信していた。しかし結果はジャッジ5-4でベレ組の勝利。
騒然とした中で滑った次の雪ちゃん達は、世界初のスロー4回転サルコウに挑戦。下りた後で転けてしまったけど、よくやったよ〜。その後はちょいちょいミスがあって、最高の出来とは言えなかったけど、素晴らしい銅メダルだったと思う。
後付けで考えれば、2年前のプログラムをまた滑ったサレー組より、構成がより難しく、自分達の特徴を押し出した今年のプログラムを滑ってきたベレ組の方が評価されたということかしら。恐るべしタマラコーチ。表彰式で泣いていたアントンには、感動してしまいましたよ。
しかし、実況の刈屋さんが「会場の人はみんなサレー達が勝ったとわかっている」みたいなことを言ったのには、ちょっとカチンときた。そう言いたくなるのもわからないではないが、今回はたとえサレー組とベレ組が逆の演技をしたとしても、観客はサレー組が勝ったかのように振舞ったでしょうよ。北米の観客がいかに自分の国の選手に偏った応援をするか、知らないわけじゃあるまいに。
この結果で少し安心したのは、ジャッジが良きにつけ悪しきにつけ、観客の望むことに影響されずに点数を出したこと。
さあ、もう明日の午前中は男子ショートプログラム。どうかジェーニャがいつも通りに滑れますように。
ペアフリーを見た後、大学へ。なんと恐ろしいことに、大学で使っているノートパソコンが壊れてしまわれた。う、なんとかデータだけでも回収せねば。こんな一番(精神的に)忙しい時に壊れるなんて。。
2月13日(水)
ソルトレイク五輪男子ショートプログラム結果をお伝えします。
1位 アレクセイ・ヤグディン(ロシア)
2位 本田武史(日本)
3位 ティモシー・ゲーブル(アメリカ)
プルシェンコは最初の4回転を転倒して4位。見たところ怪我のせいではなさそうだが、今朝の練習でも転んでいたらしいので、これ以上怪我が悪化していないことを切に祈ります。
これでジェーニャは、もう自力優勝は無理。他力優勝もまず無理。ジェーニャが優勝するためには、フリーで1位になり、かつヤグが3位以下にならなければいけないが、ヤグがどんなに悪い演技をしたとしても、フリー3位になることはまず考えられない。
ちなみに一番驚いたのはタケシのノーミス2位でございます。こうなったら、フリーでも完璧な演技をしてヤグを抜いてくれ〜。
ああ、これでまたしても「大舞台に弱い」と言われることであろう…>ジェーニャ。この先何年たっても、五輪ショートで転けたと言われ続けるかと思うと不憫だが、今さら仕方がない。頑張れ!
私の体験によると、どうしようもないことというのは、徐々にショックが襲ってくる。そして躊躇なく思い返せるようになるまでに2年以上かかる(笑)。
他の試合ならともかく、これはオリンピック。4年後にはプル23歳、ヤグ25歳。どうなってるかなんて全く分からない。そしてそれがこの結果…。ここ2年、一度も転けたことのないショートの4回転で転倒するとは。
ちなみに、ヤグディンはとてもとても緊張しているように見えた。刈屋アナは出来を絶賛していたが、凄いときのヤグディンはあんなものではないと思う。それでもノーミスで滑り切ったヤグ、アンタはえらいよ。
ジェーニャは、残りのアクセルとルッツはとてもきれいだったが(どんなにショックだったろうと思うと、それだけでもえらいと思う)サーキュラーステップはいつもほどのキレはなかったように見えた。
プルより後の選手達は、事実上目を素通りしていったが、直前のユンフェイはよかった。「何もしないでジャッジ前を高速横切り」「ぶれぶれスピン」「失敗しても超ハイテンションのリアクション」全て健在でございました。
試合が終わってから大学。ノートパソコンは、1時間休ませると30分くらい起動、の繰り返し。バックアップ取りは今日一日で半分がやっと。起動して30分くらいすると、突然ブラックアウトするところなんぞ、コイン式のインターネット機のようだ…。
夜は、30分おきに採血のため、とある部屋に籠もりきり。合間に時間があると、ついつい考えてしまうもの。こんなに辛いとはね…。
2月14日(木)
ミーシンコーチは、ショート後に記者に対して一言、"The Olympic Games is over." と言ったそうです。ジェーニャに聞かれる言葉としてどうか、という見方はさておき、実に的確な言葉のように思えた。
もちろんフリーがまだあるし、プルがフリー1位になり、アプトや本田やゲーブルがヤグを上回るという可能性は全くゼロではないが、ジェーニャの初めてのオリンピックは、始まって20秒で、あの回転不足のクワドで片がついてしまったのだと、しみじみ考えさせられた。
フリー、どうか納得のいく演技ができますように。
ノートパソコンはさらに重症化。昨日は認識していたMOを認識しなくなり、数時間置いても起動しなくなった。まだあまり重要じゃないデータのバックアップ取れてないんだけど。
ということで、諦めて新しいノーパソを買いに行ってきた。XPじゃないこと、安いこと、を条件に買ったパソコンは、CPU700メモリ640HD10G(書いておかないとすぐ忘れる)。結局3年の寿命か>前のパソコン。
買って戻ってきたら、周りの人々に大層妬まれた。散々悩んで30万くらい出して買った自分のパソコンが、これと同様のスペックなのが不満らしい。安いって言われても…普通、型落ちを買いませんか?
いきなり本田武史が大きく報道されるようになり、的外れの解説多々でなんだかなあ、という感じ。メダル取るための道具じゃないんだから。余計なプレッシャーを与えないで欲しいよ。
ちなみに、SPダイジェストを見た同期の子の感想。ヤグディン「氷を投げ上げたのに仰天。かなりナル入ってる」。プルシェンコ「ジャンプ転けた瞬間にお前の顔が浮かんだ。顔がまだ子供」…だそうで(だから何なんだ)。
又聞き情報によると、ジェーニャはSPの後、泣いていたとか(涙)。昨日のショックから中1日、新プログラムに怪我と、悪条件だらけで迎える明日のカルメン。とにかく楽しみにしています。頑張れ、ジェーニャ!
2月15日(金)
ソルトレイク五輪男子シングル結果をお伝えします。
1位 アレクセイ・ヤグディン(ロシア)
2位 エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)
3位 ティモシー・ゲーブル(アメリカ)
ジェーニャのフリー、素晴らしい出来とはいえなかったが、この辛い状況の中でよく頑張ったと心から思います。終わった後の表情を見ていると、どれだけ辛かったかわかるような気が。表彰式もとても嫌そうにしていたが、それが当然。また次頑張ろう!
一方、ヤグディンはとても素晴らしい出来だった。のびのびと滑っていて、ちょうど去年の世界選手権のプルのよう。これほどまでにヤグディンの優勝を祝福できるとは自分でも思わなかったが、これは全くの完敗。おめでとう、ヤグ。素晴らしい優勝でした。
タケシはどうも生まれ変わったような気がする。ノーミスとはいかないまでも、崩れずしっかりまとめて4位。凄いぞタケシ。おめでとう!
さて、そろそろ落ち込んできた。ジェーニャ、そもそも滑り始めたときから、その緊張さ加減がかなりヤバイと思っていた。最初の4回転3回転3回転、最後のループは完全に軸が曲がっていたし、前半はただ助走しているだけのところが多く、余裕のない感じで必死にジャンプを跳び、いつもの音に合った間もあまり見られなかった。ステップもおとなしめで如何にも滑りなれていない感じ。最後のサルコウを2回転にしたときには泣きそうになった。もちろんジェーニャだってダブることはあるだろう。でも、五輪でこの演技…。
まあ、今までが完璧だったので、こう思ってしまうというのはあると思う。ヤグディンは普段ミスが多いので、ノーミス演技をされると、おおおと思ってしまうが、プルシェンコは、3アクセル3フリップなんて、今まで跳んだことのない構成のジャンプを跳び、世界初の4回転3回転3回転をよろけながらでも下りても、2ミス(4-3-3の着氷ミス&サルコウ2回転)と思ってしまうし、ティムがやったならちゃんとした振付に思えるところでも、ただ助走しているように見えてしまうのだ。ごめんね(反省)。
ジェーニャは"I did my personal best"と言ったらしい。4位から銀メダルを取るのはとても難しかった、とも。負け確定の上、一昨日のミスでプレッシャーがかかった状況で本当によくやったと思う。あの終了後の笑顔が痛々しい。
一言だけ声を大にして言いたい。これでプルが機械じゃないことがよくわかったでしょ。今日は本当に子供っぽく見えた気がする。表彰式、笑顔ながらも全くもって嬉しくなさそうな顔、ヤグとは目を合わせず握手。この先が恐ろしゅうございます。
ところで、ミーシンコーチは本当にあのカルメンで戦えるつもりだったのだろうか。確かに、カルメンはプルのプログラムしては珍しく最初から評判がよいし、見れば見るほどペトレンコ風で、はまりそうでもある。1ヶ月で仕上げたにしては素晴らしい出来なのも本当だろう。
だが、前半にのみジャンプが集中している恐るべきプログラムの上、滑り込みが足りないのは明らか。勝算がないとは思わないけど、かなりの賭けだったのではないだろうか…。
今回負けたのは、プルがショートで転けたせいだが、それはそれ。今季全てがうまくいっていないのは、新プログラムを隠し通したことから始まっている気がする。ミーシンコーチ、もっとちゃんと計画して下さい。あなたが育てた子でしょ。
それに精神面のケアをもっと充分に。ジェーニャが精神的に強いわけではないのは明らかなんだからさ(弱いとまでは思わんが)。
心配なのは1ヶ月後の世界選手権。プルは出場できるほど怪我がよくなっているのか。あのカルメンはそれまでにどれぐらい改善するのか。それ以前にヤグは出るのか。
さて、もう私の中では五輪はほぼ終了。まだ女子が残っているが、見るのが苦痛な気がする。プルが取れなかった金メダルをめざす戦いを、平静に見ることができるかどうか…。
男子フリーのほかの人たち。まずユンフェイ(中国)。派手に何回も転倒、途中で足に怪我をしたらしく完全にプログラムがストップ。アクシデントが多いな(去年は予選の途中に曲が止まった)。それでも必死に頑張ってスピード出してルッツを決め、ガッツポーズ。終了後はかなり痛そうにしていて、怪我の具合がとても不安だが、あくまでユンフェイはユンフェイだった。
第3グループは、まずトッド兄さん。4回転は転倒したけど、あとはクリーン。さすがです。そのすぐ後のエルビス兄貴。意地で4回転2回転2回転を下りてました。その後はクリーンではなかったけど、2人とも最後の五輪にふさわしい演技だったと思う。
そしてワイス。こちらも4回転3回転2回転を跳んでました。なんかもう、今日はみんな3連続でジャンプを跳ぶことに執念かけてたような気が…。こんなに3コンボが跳ばれた試合があっただろうか;ジェーニャも罪な奴だよ(←最初に跳び始めたヤツ)。
最後に刈屋さん、いい加減にしてください。「さすがアメリカのお客さんは目が肥えている」??ティムの得点がジェーニャを上回らなかったことにブーイングするような客ですよ?正気ですか、あなた。北米の観客は「永久に跳んだジャンプの数と回転数だけ数えているが良い」by2ちゃん。名言です。